『フォトグラファーchinoの写真館』の第19回は『春の野山』がテーマです。お愉しみください。
勇躍
仲合
観察
アカゲラ/日本に広く分布していて、よく目にするキツツキの一種。ちなみに、キツツキという鳥は存在せず、アカゲラを含む、〜ケラという名前が付く鳥の総称。
4月上旬、カメラを抱えて野鳥狙いで自然公園内を歩いている最中、木を叩く激しい音に誘われて、まだ雪残る林道へ入っていくと、雄のアカゲラが必死木を叩いていた。
最初は、食事をしているのかと思ったのだが、その内に雌のアカゲラがやってきて、木の枝に留まり、雄の様子を伺い始めた。そして、雄が叩いた場所を奪うようにして、木を叩く。暫く観察していると、もう一羽雄がやって来て、雄同士で激しく追っかけ合う。
謎の行動に、疑問を持ち、帰ってから調べたところ、今時期アカゲラは繁殖期らしく、木を叩く“ドラミング”という求愛行動をするらしい。もしかしたら、私が観たのは雌の奪い合いのようものだったのかも知れない。
相対
警戒
逃走
監視
エゾシカ/ニホンシカの北海道亜種。
その辺によくいる。基本的に通年彼らを見る。見ない日の方が珍しいくらいだ。にも関わらず意外と写真を撮る機会ない。なぜなら高確率で運転中だからだ。
そんなわけで今回は、わざわざ彼らを撮ろうと、山へ行き、探してみる。同時に、この時期の山は熊の遭遇も考慮し、車道からは離れないように注意した。山でも、近所でも(よく熊が出る場所に暮らしている)出没情報は見るけれど、今まで一度も出遭ったことはないのはビビりで危険のあるところには一切行ないからだと思っている。基本、出そうな所では一人にならない、を徹底している。
探さないときはしょっちゅう出遭う割には、探すといないもので、いないと困るな〜などとポイントを変えながら探し回ると、なんとかいてくれた。道路脇に群れでようやく顔を出した下草を食んでいる。慌てて、カメラを構えて撮り始めると、すぐにこちらに気が付いて、不審な顔をしてみんなでこっちを見てきた。レンズ越に見つめ合った後、こちらが立ち去る様子がないのを見て、慌てて木々の間に逃げるも、またこちらをじっと見てくる。不審者を見る顔は可愛いのだが、如何せんそんなに見つめられると申し訳なさが先立ってくる。しかも、みんな雌だ。不審者扱いも甚だしく、さすがに居たたまれないので、1、2分程で早々に退散した。
出来上がった写真を見て、つくづく彼らの体毛が山でどれほど自然な色かが分かった。お尻の白いふわふわ毛がなければ、見付けるのは難しいだろうとさえ感じる。草食動物であり、捕食される危険がある彼らの身体は驚くほど合理的で理にかなった身体をしている。つくづく自然は面白い、と感心した。