『フォトグラファーchinoの写真館』の第15回は『ナキウサギ』がテーマです。お愉しみください。
換毛の初夏や身軽になりにけり
草食笑う飽食の青葉かな
茅花流しや風穴の獣道
南風熊鈴の合間にナキウサギ
風薫るガレ場駆ける獣の子や
夏の山あどけない眼と相まみゆ
エゾナキウサギ / パッと見、ネズミかハムスターに見えるがウサギ目。10-20cmほどの小さい身体の草食動物で、ナキウサギというだけあって、『ピィピィ』と鳴く。準絶滅危惧種。道央・道東の高山のガレ場で過ごし、冬眠はしない。
北海道に住んでいて、一度は観てみたい野生動物の一つがナキウサギだった。しかし、どこで観られるのかもよくわからない上に、山歩きに自信がなかったためにその機会がなかったのだが、今年の初夏に知人に声を掛けていただき、観測できる場所へと連れて行って貰った。
野生動物を観るときは、一度で観られる保障がなく、何度も足を運ぶ覚悟で行ったのだが、運良く初めてで観ることが出来た。
着いて直ぐに、石が重なり合った風穴と呼ばれる岩場から、ちょろちょろと出てきて、『ピュイピュイ』と鳴き始めたのには感動した。
幾人か同じくカメラを構えた人がいるにも関わらず、こちらを警戒する様子なく、穴から出たり入ったりしている姿があまりに可愛く、写真編集している間もその可愛らしさに笑みが溢れた。
一個体だけではなく、最初は親が、次に子が出てきて、再度感動する。子は若いだけあって、親よりも動きが速く、活動範囲も広く、旺盛に駆け回り、止まることがないため、写真を撮るのが難しかった。それでも、何度も何度も出てきてくれるので、なんとか写真に収めることが出来た。
ナキウサギのかわいさは色んな人に観て欲しいし、この可愛い生き物が絶滅危惧種なのは非常に惜しい。ぜひとも保護活動にも参加して行ければいいな、と思う。