『フォトグラファーchinoの写真館』【14】愛犬

『フォトグラファーchinoの写真館』の第14回は『愛犬』がテーマです。お愉しみください。

「花時や知らぬ人とも語らいて」

「何事ぞと渡る海猫を追う犬や」

「春潮も砂浜駆ける北の人」

「曇天の芝桜なお艶やかに」

「山笑い老犬の足取り軽く」

 春、チューリップを見るために上湧別まで行くことにした。札幌から向かうため、折角だからと滝上で芝桜も見て回る計画を立てる。昨年の春は桜を見るために道南を回った際に、愛犬も連れて行ったので、今年も連れて行くことに決めた。
 愛犬は大型犬にしては珍しく、十三歳と高齢のため、一緒に出掛けられるのはもうそれほど多くないだろうと思ったからだ。
 かみゆうべつチューリップ公園内はペット不可だったので車でお留守番をしてもらったが、他の園地では一緒に歩いた。
 最近は足腰が弱って少し歩いただけで躓いたりするくせに、旅行が楽しいのか広い園地ではどんどん先へ歩きたがる。その姿が可愛いので、なるべく歩きたいところを歩かせたいと思ってしまう。しかしながら、如何せん身体が大きく、それなりに体重もあるので、歩けなくなったかといって抱きかかえて歩くわけも行かず、帰れる距離を一応考えて歩かせる。歳を取ると、犬も人間と変わらず、頑固になってしまうので、行きたいところはどうしても行きたいと言い出し、引き返させるのも一苦労だ。そのやりとりもペット相手だと可愛いと思えるので、それなりに楽しいが。
 上湧別から紋別、雄武、興部や滝上、名寄、剣淵と周り、旭川でも観光をしようと思っていたのだが、さすがに老体に堪えたのか、愛犬に疲れが見えたため、結局途中で帰宅することにした。そもそもきままな車中泊の車旅だったので、そういうことは想定済みだったが、愛犬の衰えに少し寂しくも感じる。けれど、楽しい思い出も出来た。
 というわけで、愛犬との思い出旅のつもりでドライブしたので、いつも以上に愛犬を撮ろうと心掛けた旅で、良い思い出になるだろうと今回のテーマを『愛犬』にさせてもらった。
 蓋を開けてみればいつも通り、愛犬が私のことが好きすぎて、カメラを構えると近寄って来るため大した写真は撮れず、撮れた写真は愛犬が私のことを好きすぎて、いつもにっこり同じ笑顔の写真が出来上がった。なんて可愛い。私も大好きだよ。