『フォトグラファーchinoの写真館』【3】花

『フォトグラファーchinoの写真館』の第3回は『花』がテーマです。普段通りの生活が難しいこのご時世、ステイホームのお供として、北海道の花を楽しんでみてはいかがでしょうか。

エゾエンゴサクの石段青空へ

エゾエンゴサク/目を奪われる鮮やかな青色が春になり、地面を覆い尽くす光景は圧巻だ。エゾエンゴサクが咲くところには同時にカタクリが咲いている。青と紫のコントラストは本当に綺麗で、子供のころから大好きな光景だ。この光景を見ると、冬が終わったのだと実感することができる。

カタクリと同じ目線にファインダー

カタクリ/カタクリと聞くと、片栗粉を思い浮かべる人も多いだろう。現在流通している片栗粉は馬鈴薯のでんぷんだが、かつてはこのカタクリの球根から作られていたらしい。子供のころ、春になるとカタクリの花を採りに山に行った。お浸しにして食べるためだ。今は写真に撮るだけだが、あの味は忘れられない。鑑賞としても食用としても余すことなく楽しめる春の彩である。

地面嗅ぎ尾振る犬への落花かな

ヤマザクラ/日本において春の代表の花といえば桜だ。北海道ではそれはソメイヨシノではなく、山桜が一般的で、赤い葉と共に咲き始める様子には心がウキウキする。ようやっと木々に色が付き、夏に向けて自然が準備している気がする。

春惜しむ散歩の人の増えにけり

ヤエザクラ/桜にはたくさん種類があるが、八重桜の開花は遅い印象で、これが咲くと桜の見納めだなぁとしみじみ思う。一重の桜より豪華でふわふわの見た目はどこか高貴さを感じる。

カイドウや桜と呼ばれなに思う

花海棠/花が桜に似ていると常々思う。桜よりも花が小さく、色もより濃いピンクで、下を向いて咲くので、全体を見れば全然違う植物だとわかるが、花の形状は完全に桜だ。花が終わると実を付け、小さなリンゴみたいでそれもかわいらしい。

春昼や犬と見遣る考のアジュガ

アジュガ/シソ科の植物というだけあって、アジュガを見るとしその実を思い出してなんだかおいしそうと感じる。花が咲くと、青紫の鮮やかで爽やかさは、春色が増えてきた北海道の庭によく映える。