『フォトグラファーchinoの写真館』の第17回は『巣立ち』がテーマです。お愉しみください。
シマエナガだんご
待機
忙殺
給餌
てんやわんや
babylag
シマエナガは巣立ちしてすぐは、まだみんなで巣の近くで固まり、親に餌をもらう。その後は散り散りにみんな自立していくのだが、そのたった少しの期間だけ見られる光景は、『シマエナガだんご』と呼ばれている。
大体の鳥が、雛と成鳥では姿が違うように、シマエナガも親鳥と雛では様相が違う。だがしかし、親鳥もこの時期は全然違う鳥かと思うほど様相が変わってしまっている。特に『雪の妖精』といわれる愛らしい姿しか知らなければ、ぎょっとするほどだろう。その時期の親鳥の姿は非常にみすぼらしく、ほっそりとしているので、ふわふわのあの姿とは全く違うのである。それがまるで育児疲れに見えて、私には大変微笑ましく思うのだ。
シマエナガは大変小さい鳥であり、外敵も非常に多いゆえ、シマエナガだんごは葉の多い枝で必死に隠れるように留まっている。そのおかげでこちらも見つけるのは困難で、見つけても枝葉に邪魔されて中々うまく写真が撮れない。だけれど、その方がかえって彼らの安全なのだから安心すら覚える。そんな状態の上に、シマエナガは子沢山でもあり、親は気の抜ける時間がないのだろう、せっせと子らに餌を運んでは与えるのだが、一度別の場所に留まり、様子を見てから給餌するなど警戒心が強い。それに相まってボサボサの姿なものだから、本当に育児疲れした親そのものにしか見えず、その人間味感じる姿が愛おしい。子は子で、親が来るまではじっと大人しく、親が近くに来れば我先に餌をもらおうと必死に鳴き、ずる賢い者は、すでに餌をもらったにもかかわらず、列の順番を移動して、またもらおうと画策したりする。その大変さは人間の育児とそう変わらないように見えて笑ってしまう。
今回は二日間かけて、このシマエナガダンゴを追ったのだが、二日目見かけた時は前日より一羽足りず、まさかと嫌な想像をしたが、何度か移動した後、気が付けばしっかり元の数に戻っていて、安堵した。きっとみんな元気に巣立ったと信じている。
今回、野鳥保護の観点から、詳しい巣立ちの時期、場所の特定を防ぐため、この時期の掲載にしてもらいました。