『フォトグラファーchinoの写真館』【18】長崎

『フォトグラファーchinoの写真館』の第18回は『長崎』がテーマです。お愉しみください。

長崎にて

過去からの手紙

邸宅

秘密結社

南国は

サンルーム日和

郷愁

初めて長崎を訪れた。
 自身のルーツが九州にも関わらず、一度も訪れたことがなく、死ぬまでに必ず行きたいと願っている土地でもあった。
 ランタンが街に並び、地元の人と話せば口々に話題に出すランタンフェスティバルの前日、それには行かない稀な観光客の私は、平和公園とグラバー園を回った。
 写真でしか見たことなかった平和公園の平和祈念像は想像よりも壮大で圧倒された。こんなにも大きかったのか、と思うと同時に、それだけこの土地の人々の願いの大きさに触れたようで、胸打たれた。
 翌日、朝からグラバー園を訪れた私は、前日の厳粛さとは裏腹に、坂の街の洗礼を受け、転んだら止まらんだろうな……、などと呑気に思いつつ歩いた。
 グラバー園といえば、坂本龍馬! と思うかほど、土佐藩贔屓で、幕末好きの私は、グラバー園も人生で一度は訪れたい場所のひとつでもあったが、歴史がどうこうよりも北海道との植生の違いに驚き、植物の方に目が行ってしまった。
 こんなに登ったのに、こんなに南国の植物が堂々と生えているのかと感じて、そこで初めて遠くに来たのだという実感が沸く。
 高台からぼんやり眺める長崎は、急勾配過ぎて、海が真下に見えた。
 ここに住んでいたら肥る間もなさそう……という感想しか出てこない自身の感性の乏しさに最早感心すらした長崎の旅であった。