9月のスペシャルインタビューで取り上げさせていただいた『Lowland Jazz』 を応援してくれているお店、札幌中央区の『やきとり多留摩(だるま)』をご紹介します。
札幌地下鉄南北線『すすきの駅』3番出口より徒歩3分。『第3グリーンビル』の36号線側の入口から地下1階に降りていきますと、天井に看板が出ています。すすきのに馴染みの深い方ならば、誰もが知っている『第3グリーンビル』の地下が、こんな雰囲気になっているとは知りませんでした。
平素お酒が飲めず、1階のドーナツにばかり気を取られている私にしましては、ちょっと意外な空間。面白そうでお美味しそうなお店が並んでいます。
ススキノで一番おいしい焼き鳥を出すお店!『やきとり多留摩』。
提灯に酒樽。落ち着いた雰囲気の入口です。中に入ると正面のカウンター席と左右にテーブル席があわせて3つ。夕方の早い時間にも関わらず、カウンター席はほぼ満席の状態でした。焼き場の大将を助け、お給仕に飛び回る女将さんが明るくお迎えしてくれます。お席に着いて、まず注目なのがこちら。
カウンター席の脇に置かれた『剣菱』の樽酒です。赤穂浪士出陣の際にも飲まれたというこのお酒。札幌では置いているお店が少ないとのこと。日本酒好きの方は、ぜひ一献。
樽の上には清々とした木の升が積んでありました。丁寧に木で組まれ、使い込まれているからこそ清潔な道具たちがお店の雰囲気とマッチして、初めての方もホッとできる。そんなお店です。
メニューが豊富で、串焼きは皮、なんこつ、レバー、ハツ、砂肝、どんどり、きんかん、こにくと、網羅され、つくねだけでもあらびき、梅、しそ、にんにく、銀杏と多彩です。さらに、とり丼、とり鍋(要予約)、焼きおにぎり、お新香と、お酒が飲めなくても、最高の焼き鳥を食事としても楽しめます。
先ず、最初に注文いたしましたのは、こちら『なんこつつくね』です。外は香ばしく、中はふんわりと焼き上がり、一口かじるとなんこつがねっとり口の中でほどけます。食感はもっちりふわふわ。よく調理されたなんこつは心地よい歯ごたえで、一切、違和感なく肉と交じり合います。
何よりタレが甘すぎず、からすぎず、ちょうどよい味加減で鶏本来の旨味を引き立ててくれます。タレも自家製として考えると、タレ作りに欠かせないお酒が上等なのかもしれない。そんなお味です。
続いて、『ピーマン肉詰め』です。
つやつやと、見るからにおいしそうなピーマン肉詰めは、期待を裏切らない傑作です。ピーマンと肉の間にうっすらと肉汁が光っています。炭火でしっかり焼かれたピーマンの甘みと、鶏の旨み、上等のタレが合わさって、感動的な一皿です。あつあつでかぶりつくのも良し。少し冷めてから、一滴の肉汁もこぼさないようにして、一口に召し上がるのも良し。です。
左から、『ねぎとり』、『つくね』、『手羽先』です。
こちらのお店では、知床鶏を1匹で仕入れて、お店で切り分けをして串にしているそうです。まぜものなしの鶏を備長炭で大将の手で焼き上げてくれます。職人のこだわりと技術が生きている、本物のやきとりが食べられます。ひとことに「とり」と言っても、部位や仕立て方によって、こんなにも多彩な味が引き出せるということを、感動的に味あわせてくれるお店です。
こちらが絶品『砂肝の唐揚』です。
砂肝といいますと、ゴリゴリ、ガリガリとして、味もよくわからない。個人的にはそういう食べ物だと思っていましたが、このひと皿は、そんなイメージを根底からくつがえしてくれます。
食感は、ザクザクした中にみっちりと肉本来の弾力を感じさせ、噛むほどに旨みが染み出してきます。かすかに香る五香粉のような香りが不思議に砂肝の触感とマッチして食欲をそそります。内蔵の旨みと肉をかむ喜びを存分に味わえる、おすすめの一皿です。
こちらが、締めの『おにぎり』梅(左)と、おかか(右)です。鶏の香りに満たされたところで頬張るおにぎり。最高です。
これまで、焼き鳥のお店というのは下戸が立ち入ってはいけないところだと思っておりましたが、こんなに美味しいものが食べられるなんて、羨ましすぎます。今後は下戸上戸の区別なく、おいしいお店に潜入して、ご紹介して参りたいと思います。
さて、帰り支度を。という頃、意外なことに気が付きました。やきとり屋のイメージのひとつとして、店内が焼肉店と同じくらい匂う。洋服やバッグに匂いが染み付く。ということがありますが、こちらの『多留摩』では、それがあまりない。
お店を出てからも、自分の匂いが気になることなく、気持ちよく帰宅できました。お店の設計によって、お客さまのテーブルには煙りが行かないようになっているようです。目の前にお皿が来た時に初めて、新鮮なお料理の匂いを楽しめる。そんなところもお店の心遣いのような気がして、嬉しくなるお店でした。
住ああ所a: 札幌市中央区南4西3 第3グリーンビル 地下1階
電ああ話a: 011-513-8910
定a休a日a: 日曜
営業時間a: 17時~24時(LO23時30分)
(2015年4月取材:羽衣子)