『Monkey And Donkey Design』 2016年7月号

  台北 西門紅楼 16工房 Monkey And Donkey Design 

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2016/3/8-4/24 Monkey And Donkey Design 『創陶風‧作陶格』 品牌概念展 : http://goo.gl/2fQewy

 

今回は台北を旅した人なら一度は立ち寄ったことがある町、西門町にある総合芸術施設『西門紅楼』内の創作雑貨マーケット『16工房』と人気創作レーベル『Monkey And Donkey Design』をご紹介します。

 

西門紅楼は日本統治時代の1908年に竣工した赤レンガ造りの建物で、当初は公衆衛生を管理するために建てられたそうです。後に台湾初の公営市場になり、終戦後は劇場、映画館などに使われ、現在ではカフェ、劇場、ショップの複合施設として、また広場を利用したイベントスペースとしても活用されています。

 

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西門紅楼 画像元:http://goo.gl/E5CtuQ


 その建物内にあるのが、『西門紅楼16工房』。台湾で創作する作家を中心にした雑貨マーケットです。

2016年の1月に全面改装オープンしたばかりで、店内は洗練された現代装飾と100年以上の歴史建造物が融合した空間となっています。

 

台湾の創作雑貨は『変なところにアップリケが付いている』とか『よくわからないファンシーキャラクターが全面に押し出されている』といったフリーダムさもある一方で、ここ数年の間にデザインが驚くほど洗練され、シンプルでありながらセンスと技術を感じさせる魅力的な雑貨がたくさん発売されています。

 

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2016年リニューアルオープンした西門紅樓16工房 画像元:http://goo.gl/UTXGlV

 

 ブースは1階と2階に分かれていて、階段を上がると1階からの吹き抜けを挟んで両側に小さい店舗が並んでいます。

 今回訪れたのは、2階 側にある陶器のお店、『Monkey And Donkey Design』(モンキー&ドンキーデザイン)で、作家のおふたりにインタビューするためなのでした。

 

『Monkey And Donkey Design』は企画・コンセプト担当のRay と 造形担当のLolo、ふたりの創作レーベルです。そして、ふたりとも香港出身。この16工房がリニューアルオープンする前に、西門紅楼広場のアートマーケットで初めておふたりに出会いました。洗練された作品がひときわ目を引いたので、連絡先を交換し、その後、厳しい審査を通過して16工房のお店をオープンした!という連絡をもらって、今回はそのお祝いとインタビュー取材に訪問しました。

 

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― 開店おめでとう! 素敵なお店ですね。

Lolo「ありがとう! お店が持てて、やっと安心して活動ができるようになったよ。やっぱり路上で販売するのとは全然違う。レイアウトも色々考えられるし、すごく良くなったでしょ?」

 

― 16工房に出店するために、政府の審査を通過するのは色々と大変だったでしょう?

Ray 「大変だった! 審査の資料を1週間で揃えて。電話が来たら明日面接だけどOK? って(笑)

Lolo 「パワーポイントでプレゼンテーションあるから資料つくってきて。って言うから、急いで作ったんだよね」

Ray 「その2日後にOKが出たんだ。台湾人じゃないけど、いいよ。って言ってもらえて、すごく嬉しかった。台湾は外国人に対して開放的な国だね」

 

 

― そして、何よりおふたりの作品が素晴らしかったから。だと思う。

Ray 「審査してくれた人もそういってくれたよ(笑)。ありがとう」

 

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企画・コンセプト担当のRay (左) と 陶芸・造形担当の Lolo (右)

 

― おふたりは台湾に来て何年経つの?

Ray 「ちょうど1年かな」

 

― 台湾へ来て半年で出店が決まったということ?行動が速い。香港から台湾への移住を決めたのも速かった?

Ray 「速かったね。1度下見に来て、その後2か月で決めたよ」

Lolo 「香港の生活はすごく疲れるの。だから台湾の一番居心地の良いところに住もうと思って、各都市を見て回ったんだ」

 

― どうして台湾へ?

Ray 「アジアで陶器文化が確立しているのは、中国、台湾、日本、韓国。その中で香港から一番近かったから」

Lolo 「日本へは行けなかったんだよね。日本語がわからないし、移民の手続きがすごく難しかったから」

 

― 日本へは興味ある?

Ray 「うん。あるよ」

Lolo 「私たちは小さいころから『日本はアジアでナンバーワンだ』って聞いて育ってきたから。モノを作るのが上手な国だよね。それにこのお店にも日本人のお客さんがたくさん来るんだけど、みんな私たちの作品に好感を持ってくれる。作品自体が日本的な雰囲気があるって言われることもあるよ」

 

― 日本に興味があるんだったら、日本人作家と交流したり、双方で展覧会を開催できたりするといいよね

Ray 「すごくいいね!機会があったら、是非やりたい。僕たちは香港に居たころから色々な展覧会に参加していたんだ。陶器作品だけじゃなくて、立体造形やインスタレーションなんかもやっていたから。日本にも行けたらいいなあ」

 

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企画・コンセプトを担当するRay (写真奥) と、陶器製のメッセージプレート商品 『祈福泡泡- Fortune bubble』(写真手前)

 
  
― 実際に台湾へ来てみて、どう?

Ray 「楽になった」

Lolo 「香港のストレスはすごいからね(笑)」

 

― 台湾に来てから、ふたりが作る作品に変化はあった?

Ray 「あるね。以前は組織の中でデザインの仕事をしていたから、制限があったんだ。今は自分たちの店が持てたから、自分たちの考えで自由に作品を作ることができる。すごくいいよ」

Lolo「ボスがいないからね。『それ、儲かるのか?』って言われないで、自分の作品が作れる!(笑)」

 

― 今年の1月にオープンして、その後、このスペースは利用期間は決まっているの?

Ray 「利用期間は1年。その間、どういう作品を発表して、どれくらい稼いだか?を基準に再申請できるんだ」

Lolo 「ああ、売上!プレッシャー感じてるよー(笑)」

 

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陶芸・造形担当のLolo. 伝統技術と現代感覚を融合させた作家。英語、広東語、中国語で対応してくれる。

 

― ふたりはこれからどんな活動をしていきたいと思ってる?夢があったら聞かせてください。

Ray 「実際、今、僕たちが作っている作品は、ちょっと芸術側に寄ってるんだけど、これを商業製品に融合させたいと思ってるんだ。そうすると作品は博物館ではなくて、一般家庭に置かれることになるでしょ?家で芸術品を楽しむこと。そういう楽しみを提供していきたいと思ってる」

Lolo 「芸術品っていうのは、1点しかない作品をたくさんの人が欲しがるから価格が高くなるもの。どうしたら比較的安価に、でも特別な1点ものの作品を提供できるかを常に考えている。大量生産はしないで、価値のある作品を作っていきたいと思う。Rayは今、ファッションの勉強中なんだよ」

― ファッション?

 

Ray 「元々、香港理工大学で教師の仕事をしていて、今、そのドクターコースで勉強中でもあるんだ」

 

― ふたりとも、作ること、学ぶことの範囲が幅広いですね!

 Lolo 「そうなの!Rayはやりたいことがいっぱいあって大変なんだよ!」

Ray 「だから、Loloは大変なんだよね(笑)」

 

― それじゃあ、急いでやらないとやりたいことに追いつかない(笑)。これからも良い作品を作り続けてください。今日はありがとうございました!

 

Ray 「僕たち、君が着てるTシャツがすごく気に入ったんだけど、一緒に写真撮らない?」

 

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『Monkey And Donkey Design 』

企画・コンセプト担当のMonkey(Ray)と、造形担当のDonkey(Lolo)の2名で創立したデザインブランド。陶芸、絵画、平面・立体デザイン、アニメーションなど、多彩ジャンルで表現を行う。韓国国際陶芸ビエンナーレ、香港芸術ビエンナーレ、米国Spark Awards ほか、英国、アルゼンチン、オランダなど、各地で入選、受賞歴を持つ。コンセプトは、個性、活発、愉快。 

Facebook:https://www.facebook.com/Monkey.and.Donkey.Design/
Web shop:https://goo.gl/0m0b43

 

 

  
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 台北 『西門紅楼』

ああa台北市成都路10号
※MRT『西門駅』1番出口徒歩1分
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b:http://www.redhouse.org.tw/
aa日 :月曜日
営業時間
a 11:00〜21:30

 

 

『 Monkey And Donkey Design 』

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※画像元:西門紅楼16工房『Monkey And Donkey Design』:http://goo.gl/HA1aUo 

   
   

《Monkey And Donkey Design作品紹介》

香港藝穗會展出展作品『童話的真相』“The Truth of Fairy Tales”(0000年)

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タイトルは『吹咩』“Blow”。広東語では『何吹いてる?』と『だから何?』と2つの意味がある

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写真被写体は作者 Lolo

 

『異樣一雙』 “Weird Couple” (0000年)

・香港藝術發展局及香港青年藝術節資助
・日本 SONY(HK) 影像儀器贊助
・香港德國文化協會場地贊助
・香港藝術中心歌德學院畫廊出展

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   (2016年6月取材:羽衣子)