『フォトグラファーchinoの写真館』【9】藤の花

『フォトグラファーchinoの写真館』の第9回は『藤の花』がテーマです。お愉しみください。

藤揺れて香り溢れる日陰かな

藤棚やスプリンクラーフル稼働

大き天神藤の小さき花よ

撮影地:天神山緑地(札幌市豊平区)

北海道最古の藤がある天神山緑地へ初めて訪れた。
 幹の太さや枝ぶりは圧巻で、樹齢二〇〇年を超えているにも関わらず、枝の先まで咲き誇る藤に驚愕する。藤棚は太く強固な鉄骨で組まれ、それが枝の重さを推し量れる。こんなに堅牢な材料で作った藤を私は見たことがない。これほどまで綺麗に咲かせるための努力は並大抵のものではないだろう。
 朝早く訪問したが、近所の人がペットを連れて散歩しており、足を止め眺めている姿は長閑で、地域の人に愛されているのがよくわかる。
 左右をマンションに挟まれている立地は、街並みの変成を感じさせるが、この巨木だけはぜひとも今後も変わらず来世へ遺って欲しいと願う。

藤を見る和服の人の優雅さよ

木漏れ日にかたむける春日傘かな

日に透けるレースのごとき藤の花

スマホにポーズ取る子らやみどりの日

撮影地:百合が原公園(札幌市北区)

 百合が原公園と言えば、札幌では遠足地としても有名だ。広い園内は年中楽しめるように色んなものが植わっている。また運動地としても使用できるので、常に多くの人が訪れる。撮影日も、色んな人が行き交っていた。
 藤棚は何本かの藤が絡まっていて、花を見ると、種類が違うのものが植わっているのがわかる。藤の花は遠目で見ることがあっても、まじまじと近くで見ることはなかったが、百合が原の藤棚は低いため、花がよく見えて初めていろんな種類があるのだと気が付いた。
 陽射しが強く、暑い日だったが、風も強く、風が吹く度に藤の香りが立ち、非常に癒やされる日だった。今まで藤の花を愛でることはなかったのだが、今後も他の景勝地へ出向いてみたいと思わせてもらった。