こんにちは、西内恵介です。今年もあと1ヶ月。そしてサンタさん大忙しの一大イベントが!予定の決まっている方も、まだの方も、あいにくお仕事の方だって、間違いなく暖かな気持ちにさせてくれる、珠玉の一枚を!
『N.R.B.Q.のクリスマス・ウィッシュ』
(デラックス・エディション)
NRBQ(エヌ・アール・ビー・キュー)
『CHRISTMAS WISH
(EXPANDED EDITION) 』
NRBQ 2000年
メンバー(※追加曲のメンバー)
ジョーイ・スパンピナート(bass saxophone )
テリー・アダムス(keyboards pocket trumpet )
トム・アルドリーノ(drums glocken )
アル・アンダーソン(guitar )
※ジョニー・スパンピナート(guitar trombone)
収録曲
1 世の人忘するな(GOD REST YE MERRY GENTLEMEN)
2 クリスマス・ウイッシュ(CHRISTMAS WISH)
3 エレクトリック・トレイン(ELECTRIC TRAIN)
4 サンタのおじさんやってくる(HERE COMES SANTA CLAUS)
5 クリスマス・タイム・イズ・ヒア(CHRISTMAS TIME IS HERE)
6 ジョリー・オールド・セント・ニコラス(JOLLY OLD ST. NICHOLAS)
7 ジングル・ベル(JINGLE BELLS)
8 ホリデイ(HOLIDAY)
9 あめなる神には(IT CAME UPON A MIDNIGHT CLEAR)
10 まきびと羊を(THE FIRST NOEL)
11 かいばのおけで(AWAY IN A MANGER)
12 赤鼻のトナカイ(RUDOLPH THE RED NOSE REINDEER)
13 ジーザス・ラブズ・ミー(JESUS LOVES ME)
14 ゴッド・ブレス・アス・オール(GOD BLESS US ALL)
15 北極からのメッセージ(MESSAGE FROM THE NORTH POLE)
16 クリスマス・ウイッシュ(リプライズ)(CHRISTMAS WISH(REPRISE))
17 クリスマス・ウイッシュ(オリジナル・カラオケ)(CHRISTMAS WISH (TV MIX))
娘「パッパァー!メリークリスマス!」
俺「.....」
娘「あれぇ?久々に娘の顔見て、嬉しくないのかなぁ?」
俺「パッパァーじゃねぇよ!何だよ?全然顔見せないで。半年ぶりか?」
娘「サンタさんサンタさん、私に○○のブーツをください!」
俺「.....はぁ?」
娘「パパじゃないって、サンタさんにお願いしてるの」
俺「.....サンタなんか、いないんだよ」
娘「ひどい! 私はサンタを信じてるのに! ねぇママ?」
妻「ひどい! あなたは子供の夢を踏みにじるの?」
俺「子供? もうアラサーに...(パシッ!)痛っ!」
妻「いくつになっても私達の子供でしょ! ねぇ?」
娘「ねーっ!」
俺「ねーっ! じゃねぇよ。」
妻「サンタさんサンタさん、3代目JSBの○○を私の夫に!」
娘「えーっ! じゃあ私のパパが○○? すっごーい!」
俺「.....」
『NRBQ』ってご存知でしょうか? これ、略称で正式には『New Rhythm&Blues Quartet(ニュー・リズムアンドブルース・カルテット)』って言います。が、なぜか略称のバンド名をさらに略し、親しみを込めて、ただ『Q』って呼ばれてしまう、そんなバンドです。
結成は1966年! ベテランのアメリカンバンドです。ヒットチャートを賑わすわけではありませんが、全盛期には年間200回を超えるライブをこなし、『全米一のバー(飲み屋)・バンド(命名エルビス・コステロ)』などと呼ばれ、長年に渡る固定ファンを獲得しています。
そのファンは著名なミュージシャンにも多く、ボブ・ディラン(ノーベル文学賞!)、ポール・マッカートニーなど『Q』大好きを公言していますし、キース・リチャーズが、ビル・ワイマンの後任ベーシストに『Q』のジョーイ・スパンピナートを熱心に勧誘し、断られたなんてエピソードもありました。
彼らの歌をカバーしているアーティストも多く、デイヴ・エドモンズや、グラミー歌手のボニー・レイットがカバーした『Me and the boy』なんて、聴けば「あー知ってる!」ってなるはずです。
その誰もが、例えばインタビューなんかで『Q』のことに触れられると『ああ、大好きだよ(ニヤリ)』って…そう、この(ニヤリ)って感じが、まさにNRBQなんです。
どういうことかと申しますと、例えばアンコールで、突如カラオケ(!)でビリー・ジョエルの『素顔のままで』をメンバーで歌い回したり(おまけに後にライブCDに収録!)、知らない曲でも、「選ばれた曲は必ず演る!」と、観客からリクエストを募る『マジックボックス』なるコーナーがあったり、そんなバンド無いでしょ?
しかし、キワモノではありません。リリースされる作品の完成度の高さと多彩さは唯一無比です。全員が曲も書けて歌えます。それは、ロック、ポップ、ブルースにとどまらず、スキッフル、ボードヴィル調、モダン以前のジャズに、ジャンル分け不可能なインストまで、何でもありです。
そして、メンバーそれぞれの、プレイヤーとしての圧倒的な力量と個性! この個性のせめぎ合いこそ、このバンドがオリジナリティを発揮する一因です。
その個性の中でも最もキているのが、ピアノ・オルガンのテリー・アダムスその人です。メンバー入れ替わりもままある『Q』ですが、やはりこの人無くしては、NRBQとは言えません。
奇才ってこういう人を言います。
最初、ピアノの一音で「この人上手い!」って。でも除々に雲行きが怪しくなって、段々『弾く』というより『叩く』って感じになり、ヒジでガンガンやり始める頃には、聴いている方が「この人大丈夫か?」と、不安になるという(笑)。あの弾き方で、なんで音外さないんだろ?
ドラムのトム・アルドリーノ(故人)だって、あんなセオリー無視の叩き方、ありえません。でも、繰り出される強靱な8ビートは圧倒的で、ジャジーなアドリブも実にカッコよく決めます。
ギターのアル・アンダーソンは、巨体に似合わず、ものすごく繊細なフレーズをクリーンに奏でます。ちなみにボブ・マーリー『NO WOMAN, NO CRY』のギターもこの人が弾いています。
ベースのジョーイとアル脱退後に加入した、ジョニーのスパンピナート兄弟が一番、いわゆるロックミュージシャンの佇まい、なのかな? ジョーイは現在、癌で闘病中です。
さて、以上をふまえて、本作のご紹介です。これまで、実にいろいろなバリエーションでリリースされています。
1)1978年 4曲入りEPとしてリリース(これがオリジナル)
2)1980年 2曲入りシングルとして再リリース
3)1986年 8曲入りミニアルバムとして、リイシュー
4)1995年 初CD化! 12曲入りにグレードアップ。ただし1000枚限定プレス
※このころ、日本でも嶺川貴子(渋谷系と言われた方々の一人。コーネリアス小山田圭吾の元嫁)が「クリスマス・ウイッシュ」をカバーしたり、96年に本家NRBQが初来日したり、一部で盛り上がりを見せました。
5)2000年 17曲入りデラックス・エディションが日本発売(本稿はこれに基づく)
6)2007年 本国アメリカで、19曲入りリマスター発売
7)2015年 同内容の紙ジャケット盤がリリース
再リリースのたびに数曲増えます。しかし、何せ17曲入りでもトータルタイム27分21秒!
そもそも真っ当な『歌』は4曲だけ。残りは、賛美歌やクリスマスソングを、ブラスセクションや、オルガン、ギター、マリンバやらで演奏したインスト。『北極からのメッセージ』という思わせぶりの一曲なんか、初めてシンセに触った子供が必ずやる、不協和音な発信音を鳴らすだけで、これ、曲じゃないだろ? というものだったり……。うーん、最初の4曲入りEPで充分かも(笑)
そして、掛値無しの名曲にして、タイトルソングの『クリスマス・ウイッシュ』は、2曲目に登場。
(リプライズとして最後から2番目にも。そして、ご丁寧にキー下げた『カラオケ』まで)
何だろ? この心の奥が『ポッ』と暖まる感じ。ちょっと切ないメロディに、こんな詞が載ります。
”メリークリスマス、メリークリスマス”
”一年でこの時だけは、いい夢は何でも叶うんだ”
”どこの家のツリーの下にも、オモチャが置いてあるのを見るとさ”
”こうあるべきなんじゃないか?って思っちゃうよね?”
”世界中の人も、それに気が付けばいいのになぁ。”
たまらないでしょ? 「WAR IS OVER!(byジョン&ヨーコ)」とか、声高に叫ばんでも、こんなつぶやきで十二分に伝わっちゃう。
この『クリスマス・ウイッシュ』がイイ歌だなと感じたら、ぜひぜひ、普段のNRBQもお聴きください。あくまで本作は『クリスマス』の特別アルバム。『Q』の魅力はこんなもんじゃないんです。
結成50周年(!)を記念した5枚組BOXセットも、11月に発売になりましたが、最初はジャケ買いで充分(笑)『あ! これカワイイ!』で、ぜひ1枚お選びください。
最後に、『クリスマス・ウイッシュ』の2曲入りシングル発売時のエピソードを。
工場出荷の段階になって、A面とB面の曲名ラベルが『入れ違っている』ことが発覚! 普通であれば出荷停止になりそうなもんですが、「まぁ、いいか」と、そのままリリース、ファンもファンで、「まぁ、これもQらしいよね」って。ゆるいなぁ。
ケイズ管理(株)西内恵介