メリークリスマス!西内恵介です。ダニー・ボイル監督の映画『イエスタデイ』はご覧になりましたか?自分以外ビートルズを知らない世界で、売れない歌手の主人公が、ビートルズナンバーを自身の曲として歌い、成功をつかむのですが.....。という、ビートルズファンは、クスッと笑え(そして、ほろりと泣かされ)そうじゃない人も、ラブコメディとして充分楽しめるイカした一作でした。
今回はビートルズがいなければ、このアルバムをご紹介することはできなかったという一枚を!

パワー・トゥ・ザ・ポップ
『POWER TO THE POP 』2019年
主な収録アーティスト:ユートピア、エルビス・コステロ、ビリー・ジョエル、チープ・トリック、ロイ・ウッド、ラズベリーズ、スタックリッジ、クーラ・シェイカー、オアシス他
妻「ねぇ?サンタさん、私の枕元に何も置いてないんだけど?」
俺「うん?」
妻「忘れたのかなぁ?ねぇ??わ・す・れ・た・の・か・な??」
俺「お・も・て・な・し、みたいに言うなって」
妻「パパんとこには?」
俺「あるわけ...えっ!!!なんだこの箱??」
妻「来たんじゃん!サンタさん!!」
俺「マジか?どれどれ?中身は.....」
妻「なに?なに?なに?」
俺「.....(!!!)なんか、高そなピアスが...?」
妻「え!!それって私がサンタにお願いしてたやつじゃない?」
俺「.....」
妻「もう!あわてんぼうのサンタクロース!置く場所間違うなんて!」
俺「.....メリークリスマス(T_T)」
ちょっとだけ映画『イエスタデイ』のネタバレを。物語の核心とは無関係なので、未見の方も読んじゃってください!
「自分以外ビートルズを知らないのではないか?」と気が付いた主人公は、まず、ネットで『BEATLES』をググって見ます。出てくるのは「カブトムシの写真や解説」だけ。どこにも、ロックバンド『THE BEATLES』はヒットしません。
次に、メンバーの名前、有名曲のタイトルと、次々に検索して行きます。
当然何もヒットしない。だって『BEATLES』が存在しない世界に飛ばされた(?)のですから。
ふと思い付いた主人公は『ROLLINGSTONES』と検索してみます。するとミック、キースらメンバーの写真がヒット!彼らは存在していました!
でも『OASIS』と検索してみると.....砂漠の緑地の写真しかヒットしません(笑)
つまり、ビートルズが存在しなければ、彼らに絶大な影響を受けたであろうバンド、オアシスは存在しないってわけです。かなり乱暴ですけどね(^^;)
そう、オアシスだけではなく、ビートルズ出現以降のロック・ポップ界には、彼らに多大な影響を受けた作り手、歌い手達がたくさんいます。
ビートルズに「ハマってしまった」人達は、もうズブズブと、その影響下から逃れられることはできないと、言い切っていいくらい、抜けられない深みに達するのが常なんです。
おそらく、その人の音楽的DNAに、しっかり刻み込まれてしまう!
恐るべしビートルズ!

Oasis 画像元: https://bit.ly/34MfrkM
そんな、幸か不幸かよくわかりませんが、自分で作った歌なのに、何だか「ビートルズっぽい」という、よく言えば、アルバムのキャッチコピー通り「ビートルズの遺伝子を受け継いだ者たち」。悪く言えば、ビートルズの呪縛から逃れられない、悲しい(笑)アーティスト達の楽曲群!
それが本アルバム、『パワー・トゥ・ザ・ポップ』です。
映画『イエスタデイ』の世界では、このCDに登場するアーティスト、全て存在しない!
いやぁ、よく作れたなこんなの!もう凄い!名曲揃い!泣けるし笑える!そりゃ、自分でプレイリストをいくらでも作れる今の世で、こんなの意味あんのか?とも一瞬考えましたが、この選曲集を作品として世に出すというのは、作り手の執念というか怨念というか(笑)感服致しました。
ところで、「ビートルズっぽい」ってどういう曲を差すんでしょう?
実は、英語には「ビートルズっぽい楽曲」を意味する単語があります。「BEATLESQUE(ビートレスク)」つまり、アラベスク(アラビア調の)とかロマネスク(ローマ時代風の)と同じですね。
その言葉の「定義」をウィキで見ると
① ポールっぽいピアノ(左手はオクターブでベース、右手和音で4拍子を弾く)
② 大仰なエンディング
③ ブルーグラス影響のハーモニー
④ チェロの音
⑤ リンゴの左利きこそのフレージング
メロディそのものより、バッキングにかかわる部分。ここがビートルズっぽさの要なんですね。これ、いわゆる「ビートルズ研究家」の権威翁の定義なんですが、概ね僕も同意見です。②は『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』のような楽曲を差しているんでしょう。
本家ビートルズの、「サージェントペパー」「ホワイトアルバム」「アビーロード」が、デラックス
エディションとして、デモ音源や没テイクが収録された豪華版が出ましたよね?
あれを聴いて、改めて、彼らの演奏力の高さに驚いた、ビートルファンの方少なくないと思います。
ファンをしても、世間が言うように、「演奏力的には」その後のバンドには劣るんじゃないか?の懸念がありましたけど、全くそんなことは無く。
そりゃポールは圧倒的なんですけど、リンゴのスーパードラマーぶりは、改めて驚きましたし、ジョンとジョージも「え?ここまで弾けるの?」ってびっくりするデモ音源がたくさんありました。
それに各々の歌唱力と、ハーモニーが決まるまでのスピードの凄さ!勘の良さ!
つまり、ビートルズっぽいバッキングやハーモニーを再現するって、結構な力量がないと不可能なんです。
このアルバムに収録されている歌い手、演奏者達は、そこをまずクリアしてらっしゃる! なので、必然的にクオリティの高い楽曲が揃うわけです。

Todd Rundgren 画像元: https://bit.ly/35S7VGt
それでは、非常にざっくりですがアーティストと楽曲紹介を。
ちなみに本CDには、作り手のこだわりを反映した、非常にコアで詳細な楽曲解説が、信じられない文書量で(72ページ!)付属しております。泣きそうになったよ(笑)
2枚組のCD1枚目には、70~80年代の楽曲、2枚目には90年代以降の楽曲という感じで、高齢者に優しいのは1枚目!2枚目は知らないバンドが多かったけれど、勉強させていただきました。
1曲目はこれだろ?と、ここは予測的中の「オタク」の皆様多かったのでは?ソロ曲も入っておりますが、ポップの魔術師トッド・ラングレン率いる、ユートピアの『アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・タッチ・ユー』その名も邦題、『抱きしめたいぜ』
これは、ビートルズへのオマージュソングの元祖で、10曲目のティアーズ・フォー・フィアーズの『シーズ・オブ・ラブ』同様、リスペクトに溢れる1曲!
ちなみにトッドのソロからのセレクトが『アイ・ソウ・ザ・ライト』だったのは、あれ?ちょっと他の曲あるしょ?って思っちゃいましたが、名曲中の名曲だからよしとしますか。

Elvis Costello 画像元: https://bit.ly/2EMDJR1
パイロット、エリック・カルメンと続き、御大エルビス・コステロ!、そりゃポールと共作しているし、プロデュースもしているし、文句ありませんよね。曲は『ヴェロニカ』
まだまだ続くよ、10CCにELO(エロじゃないよ)の2大ビートルチルドレンバンドはもちろん、よく許諾取れたな、超大物ビリー・ジョエル!なるほどポールと共演もありますし。
日本では一発屋と思われている、ザ・ナックはもちろん、その1曲(笑)
でも、アビーロードスタジオのエンジニアとして、ビートル諸作に深く関わっている、アラン・パーソンズがセレクトされるのはずるくないですか?
同じ理由でバッド・フィンガーもずるい!
だって、この辺りは「直系のDNA」だもん!ビートルズファミリー的な。
それに、ラトルズはどうよ?ビートルズのパロディバンドだぞ?似てて当たり前だよね(笑)
ここまでで、あれ?XTCは?って「オタク」の誰もが思いますよね?残念ながら許可がおりなかったらしいです。僕の愛するニック・ロウも不許可!

The Alan Parsons Project 画像元: https://bit.ly/2Ss92bM
1枚目で20曲!2枚目行きますよ。
でもあまり知らない!(笑)サラッと見てわかったのは、ジェリーフィッシュ、ベン・フォールズ、スポンジトーンズ、ライトニング・シーズ、クーラ・シェイカー、そしてオアシス!
あまり知らないバンドは、ああ、そういうことか、主に北欧やヨーロッパのバンドでした。
こちらは、もろビートルズというより、各人のソロからの影響、例えばウイングスの派手さとか、逆にジョンのシンプルさとか、これも世代を感じさせるよなぁ、と、おもしろく聴きました。
そして、全てのラストを飾るのは、オアシスの、『イマジン』のイントロから始まる、例のやつ、『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』よく許諾取れましたよね。
映画『イエスタデイ』でも無かったことにされるオアシス(笑)この企画には絶対でしょうけど、このクラスの大物バンドの、それも代表曲を、よくぞやったと思います。
それにしても来年で解散から50年経つのに未だ影響衰えず!凄いバンドですビートルズって。
ビートルズのアルバム『レット・イット・ビー』のジャケットを、ウサ子バージョンにした、めちゃキュートなビジュアルもたまりません!いつか、うちのワンコで真似しよう(笑)
制作者が、自身のブログなどで制作までの長い道のりなど、苦労と裏話を公開していますので、ご興味のある方は、ぜひそちらもご覧になってみてください。「アルバム名」検索で探せますよ。
ケイズ管理株式会社 西内恵介

jellyfish 画像元: https://bit.ly/2QcZgrw