こんにちは、西内恵介です。昨年末にリリースされた、ザ・ローリング・ストーンズ11年振りのオリジナルアルバムは、『ブルース』のカバー集でした。これがまぁまぁ(笑)カッコよく、特に若人達には新鮮だったのか、『ブルース』再評価の機運が高まっているそうです。なので便乗して、テキサス野郎の、イカしたブルースロックアルバムを!
『 ホワッツ・ザ・ワード 』
ザ・ファビュラス・サンダーバーズ
『 What’s The Word 』
THE FABULOUS THUNDERBIRDS 1980年
メンバー
キム・ウィルソン(vo harp )
ジミー・ヴォーン(guitar )
キース・ファーガソン(bass )
マイク・バック(drums )※レコーディング中に脱退
フラン・クリスティーナ(drums)※同新加入
収録曲
A1 ランニンシューズ(RUNNIN’ SHOES)
2 ユー・エイント・ナッシン・バット・ファイン(YOU AIN’T NOTHIN BUT FINE)
3 ロウ・ダウン・ウーマン(LOW-DOWN WOMAN)
4 エクストラ・ジミーズ(EXTRA JIMMIES)
5 シュガー・コーテッド・ラブ(SUGAR-COATED LOVE)
6 ラスト・コール・フォー・アルコール(LAST CALL FOR ALCHOL)
B1 ザ・クロール(THE CRAWL)
2 ジャンピン・バッド(JUMPIN’ BAD)
3 ラーン・トゥ・トゥリート・ミー・ライト(LEARN TO TREAT ME RIGHT)
4 アイム・ア・グッドマン(I’M A GOODMAN)
5 ダーティ・ワーク(DIRTY WORK)
6 ザッツ・イナフ・オブ・ザット・スタッフ(THAT’S ENOUGH OF THAT STUFF)
7 ロス・ファブロソス・サンダーバーズ(LOS FABULOSOS THUDERBIRDS)
妻「あーっ! こんなにカード請求来た! どうしよー!」
俺「……」
妻「クリスマス、年末、正月、全部カード切ったからなぁ……」
俺「あのー? おいくらくらい?」
妻「うん? 見る? はいどうぞ!」
俺「!!!!!」
妻「口、開いてるよ」
俺「見なきゃよかった(T_T)」
妻「そういや、大掃除でこんなもん見つけたんだけど?」
俺「あぁっ!! ダメ!! その封筒!!」
妻「さすがパパ! キチンと貯めてるも! 助かるわー」
俺「(T_T)(T_T)(T_T)」
アナログのLPレコードが、復権してきているそうです。新譜1枚4・5千円の値付けはどうかと思いますが、タワーレコードなんかでも、アナログコーナーがありますんで、確かに売れているのでしょう。
先日、テレビの情報番組で『今、どんな人がレコードを買うのか?』を、追跡調査していました。
僕のような中高年の親父だろうと思いきや、2・30代が圧倒的! リポーターがその理由を尋ねると、
① 70から80年代の音楽が好きで、『その時代の音』で聴いてみたい
② 気軽に聴けないので、音楽と向き合って、どっぷり浸れる
③ ジャケットが大きくて、それだけでアート。所有欲を満たしてくれる
至極真っ当な動機ですよね? 特に、そうそう! って思ったのが③。昔、『ジャケ買い』ってしませんでした? 何せ海外の音楽シーンなんて情報が入ってこない。音楽雑誌とFMラジオが僅かな情報源の時代。それもメジャーアーティスト止まり。日本じゃ知られていないバンドだって聴いてみたい。
なので、『ジャケットの善し悪し』だけで適当にセレクトしちゃう! もちろん『ハズレ』のリスクも大きいのですが、『当たり』の時の嬉しさは格別でした。
この『ファビュラス・サンダーバーズ』の2ndアルバムも、学生の時に『ジャケ買い』した1枚です。下品な色使いと、絶対ロクでもない男達の写真(笑)これで選んじゃいました。安かったし。
表ジャケット左側の『胸毛もじゃもじゃサングラス』が、ヴォーカル&ハープでグループの中心人物キム・ウィルソン。発音だけ聞くと某国の某将軍様か? って思いますが(そんなわけない)ブルースハープの超名手です。
その右側『スーツ姿の気のよさそうなアンちゃん』が、ギタリスト、ジミー・ヴォーン。そう今じゃ『伝説の』って言われちゃう、35歳で急逝したスーパーブルースギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの実兄です。
あのスティーヴィー・レイ・ヴォーンです。掛け値無しの天才。圧倒的なテクニックとセンス。それまでの、ブルースギターのレイドバックしたイメージを、アドレナリン出まくる、攻撃的なスタイルで一掃してしまった張本人。
このスティーヴィー・レイが生前、最も影響を受けたギタリストは、兄のジミーだ、とか発言しちゃうもんだから、地味な(失礼!)ブルースギタリストであるジミーが、妙に神格化される事態に(笑)。
しまいにゃ、『スティーヴィーのギターはロックでブルースの魂が無い、ジミーこそ真のブルースギタリストだ』みたいなね。
勘違い、的外れもここに極まれり(笑)。ちなみに、弟ブレイク後、ファビュラス・サンダーバーズは、『あのスティーヴィー・レイ・ヴォーンの兄、ジミー・ヴォーンが在籍する』との冠が必ずついてまわったことは、言うまでもありません。
けどね。音を聴けばそんな冠どうでもよくなるんです。カッコいいんだもん。ジミーのギターももちろんですが、やはり圧倒的なのは、キム・ウィルソンのスピーディでキレっキレのハープです!
バンドが結成されたのは、1974年。テキサス州オースティンに現存する、今やブルースマン達の聖地として名高い、ライブハウス『アントンズ』のハウスバンドとしてキャリアをスタートさせました。マディ・ウォーターズ、ジョン・リー・フッカー始め、数々の大物ブルースマン達をサポートし、バンドも腕を上げて行きました。
念願のレコードデビューは1979年。ゴリゴリのブルースアルバムの1stをリリースしました。
そして翌年、1stよりは、ロックンロールな本アルバムを発表。
81年の3rdアルバムでは、ピアノ、ホーンセクションを加え、よりロックンロール感を増し、82年の4thアルバムは、ニック・ロウがプロデュース。この組み合わせが悪いはずなく、より、ポップになったバンドは、徐々に知られて行きます。
一方、弟は(笑)83年、デヴィッド・ボウイ『レッツ・ダンス』のレコーディングに参加したことで、一気に知名度を上げ、同年『テキサス・フラッド』、84年に『テキサス・ハリケーン』が、ブルースアルバムとしては、異例の50万枚超え、ゴールドディスクを獲得し、大ブレイク!
それに伴い、ファビュラス・サンダーバーズにも、先の『冠』がつくようになり、追い風に(笑)86年のデイブ・エドモンズプロデュース『タフ・イナフ』は、ZZトップか! と言いたくなるサウンドでしたが、トップ10ヒットになりました。
その後、90年にジミー・ヴォーンが脱退。チャート的には鳴かず飛ばずの状態が続きますが、キム・ウィルソンを中心に、バンド自体は現在も続いています。最新作は2016年『STRONG LIKE THAT』です。
本アルバムは、まだまだ、テキサスのローカルブルースバンド臭が抜けず、しかし、技術の高さと曲作りのセンスの良さはあきらかで、バンドが内包する可能性とかエネルギーが、全て音に集結している凄みがあります。特にB面のスピーディな展開には、ヴォルテージ上がります。
そういや、こんなことあったな。
88年の夏、ホノルルの某ホテルに滞在していた時、部屋のドアの下から、一枚のチラシが差し込まれました。『何だ?』と手に取ると、『今夜ファビュラス・サンダーバーズがやってくる!』って。
ホテルのバーでPM9時! こりゃ行かなければと盛り上がっていると、その時間、同行者がホテルのビーチ前レストランで、晩飯予約していまして。さすがに一人で抜けられず、あきらめました。
ビール飲みつつ飯食ってると、尋常じゃないバカでかさで、ビーチまでバンドの音が! 音だけでもカッコよかったけど、やっぱり見たかったな。無念。
ちなみに、俳優のブルース(ダイ・ハード)ウィリスって、結構な腕前のブルースハープ奏者なんですよ。ユーチューブにも動画あります。本稿と関係無いですけど、ブルースつながりで(笑)
ケイズ管理(株)西内恵介