音楽紹介 [62] 『バッハ・ボックス』

みなさまご無沙汰しております。
年明けの更新時は、まさか半年後に世界がこの様な状況になるなどとは微塵も想像しなかったですが、、山場はひとまず超えたとはいえまだまだ予断を許さない状況が続きますがみなさまお元気ですか?

自粛生活中は犬の散歩と食料を買い出しに行く以外ほぼ家に篭りきりの1ヶ月半でした。オンラインでのあれこれなど、新しい試みが刺激になったりもしましたが、普段何気ない対面のコミュニケーションというのがいかに生きる上で活力になっているのかを実感した時間でもありました。

まだまだ禍中ではありますが、少しずつ事態を受け入れポジティブに活かしていくことをできる様になってきた今日この頃です。

さて、そんな訳で本来なら先月からソロツアーで、5月末は札幌にもお邪魔する予定だったのですが全公演中止でその代わりに6/28(日)の15時から配信でのライブを予定しています。

門田HPへアクセスしていただければどなたでもご覧になれますので是非チェックしてみてくださいね!

https://www.kadotakousuke.com/6-28-sun-jdt-livestreaming

そして7/7(火)の七夕にはJAW meets PIANOMANによる初のホールライブ&配信ライブ、『七夕JAZZ NIGHT』も開催されます!
こちらも絶賛チケット販売中ですので是非是非よろしくお願いいたします!!

https://www.kadotakousuke.com/7-7-jmp-live

という訳で、恒例のご挨拶と宣伝が終了したところで、本題の音楽紹介へ。

 

本日ご紹介するのは、、

 

 

バッハ・ボックス 』
BACH BOX

清水靖晃 & サキソフォネッツ

 

 

【収録曲】

1.Aria (Goldberg Variations)
アリア(ゴールドベルク変奏曲)

2.Courante (Cello Suites No.1)
クーラント(無伴奏チェロ組曲第1番)

3. Menuet 2 (English Suites No.4)
メヌエット(イギリス組曲第4番)

4. Sarabande (Cello Suites No.2)
サラバンド(無伴奏チェロ組曲第2番)

5. Fugue 1 (The Art of Fugue)
フーガ1(フーガの技法)

6. Prelude (Cello Suites No.1)
プレリュード(無伴奏チェロ組曲第1番)


清水靖晃&サキソフォネッツ 画像元: https://bit.ly/2ZhyiUj

言わずと知れた日本が世界に誇るサックス奏者のお一人、清水靖晃氏のバッハ作品集です。まずは氏の経歴を、、

<清水靖晃>

静岡県に生まれる。幼少よりピアノの訓練を受け、音楽に対する強い興味を育んでいた。1970年代、様々な楽器を扱うマルチプレイヤーとなり、とりわけサキソフォンの演奏に秀でた気鋭の音楽家として表舞台に登場する。
1983年、「清水靖晃&サキソフォネッツ」としての活動を開始する。一見グループのようだが、実際は清水単独のプロジェクトであり、初アルバム『ロトム・ア・ペカン(北京の秋)』(1983年)では、ハリウッド映画全盛期への皮肉と賛辞を織り混ぜたアプローチを試みる。

1996年及び1999年に相次いでリリースしたアルバム『チェロ・スウィーツ1.2.3』『チェロ・スウィーツ4.5.6』において、清水はJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」を、独自の解釈に基づきテナーサキソフォンのために編曲し、演奏するという世界初の試みに着手した。この驚くべき試みは、きわめて高く評価され賞賛を浴びる。
近年、1980年代にリリースしたソロアルバム『案山子』、『ミュージック・フォー・コマーシャルズ』や、バンド「マライア」の『うたかたの日々』は再評価著しく、清水が残した音楽に共鳴する若い世代が欧米を中心に拡大している。

(一部Wikipediaより抜粋)


清水靖晃 画像元: https://bit.ly/2CrLVIv

一般的に広くしられている清水靖晃氏×バッハは上記の経歴にもあるサックスのみで無伴奏チェロ組曲を演奏した2枚『チェロ・スウィーツ1.2.3』『チェロ・スウィーツ4.5.6』だと思いますが、今回取り上げるこの作品はその2枚の丁度中間にリリースされたミニアルバムで、サックスだけではなく電子音をふんだんに使った6曲入りのミニアルバム。

選曲もチェロ組曲だけでなく、鍵盤曲もとりあげています。

 

1.Aria (Goldberg Variations)
アリア(ゴールドベルク変奏曲)

もとはチェンバロのために書かれた曲集の一部ですが、ここではまったく残響のない無機的な電気的正弦波を使ってのアレンジに。

2.Courante (Cello Suites No.1)
クーラント(無伴奏チェロ組曲第1番)

これは前述の『チェロ・スウィーツ1.2.3』にも収録されている楽曲ですが、追加で和声が重ねられ現代音楽的な味付けを施して表情の違う曲になっています。

3. Menuet 2 (English Suites No.4)
メヌエット(イギリス組曲第4番)

バッハ初期の組曲の4番からメヌエット。
英語での会話をコラージュしたようなSEからはじまり、その上に無表情な正弦波でバッハの旋律が重なってくると、なぜかちょっとふざけているかの様な印象になるから不思議です。

4. Sarabande (Cello Suites No.2)
サラバンド(無伴奏チェロ組曲第2番)

無伴奏チェロ組曲の中の曲ですが、ここではサックスを使わず、女性のコーラスだけで教会音楽のような表現に。

5. Fugue 1 (The Art of Fugue)
フーガ1(フーガの技法)

こちらも正弦波をメロディーラインに使用していますが、そのバックにモールス信号のような音でドラムンベースの様な細かいリズムがずっと打ち出されていてとてもクール!

6. Prelude (Cello Suites No.1)
プレリュード(無伴奏チェロ組曲第1番)

最後に『チェロ・スウィーツ1.2.3』の導入曲であるプレリュードをサックスが主体で旋律を奏でつつも、独自の解釈で和声を付け足し新たな曲に仕上がっています。


清水靖晃 画像元: https://bit.ly/3et4Zo7

 

『チェロ・スウィーツ1.2.3』が発表された頃自分はまだ学生で、代々木の地下駐車場を封鎖して行われたライブを聴きに行ったり、アルバムも好きでよく聴きました。
短旋律なのに和音の進行を感じさせる構造は、ジャズの即興演奏のそれと同じだというのはよく言われていることですが、自分が無意識のうちに惹かれたのもそういったところだったのかもしれません。
実際サックスでのソロパフォーマンスをやってみようと思ったのはこの時の経験が大きく影響していると思います。

今回取り上げた『バッハ・ボックス』はなんとなく存在は知ってはいたものの、ちゃんと聴いたのは初めてだったのですが、エレクトリックな表現でバッハの曲を再現しても何の違和感もなく現代の音楽の一部として受け入れられるというのは、逆に言うと今の音楽の中にいかに色濃くバッハの時代の音楽的な骨組みが受け継がれ残っているのかを証明しているのではないかと、そんなようなことを思いました。

そんな訳で過去にも無伴奏チェロ組曲は何度かライブで演奏していますが、6/28の配信ライブでも、清水靖晃氏アレンジから新たに一曲チャレンジしてみようと思っていますので是非ご覧ください!

2020.6.21
門田”JAW”晃介

 

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