音楽紹介 [19] 『メリディアン・スイート』 2016年 11月号


秋の夜長に音楽はどうですか?

忙しさのあまり自分へのご褒美忘れていませんか?
週末にワイン片手にJazzを聴くなら今回ご紹介のこのアルバムがお勧めです。
少々難解な部分もありますが、本場ニューヨークの最先端コンテンポラリージャズをお楽しみ下さい。

  


メリディアン・スイート

アントニオ・サンチェス&マイグレーション

2014年12月15~17日 NY.Avatar Studios録音


メンバー

アントニオ・サンチェス(ds)
シーマス・ブレイク(ts.EWI)
ジョン・エスクリート(p)
マット・ブリューワー(b)

 

スペシャルゲスト
タナ・アレクサ(vo)
アダム・ロジャース(g)


収録曲

1.Grids And Patterns
2.Imaginary Lines
3.Channels Of Energy
4.Magnetic Currents
5.Pathways Of The Mind

 

アントニオ・サンチェスという名前を知らなくても、2015年アカデミー賞の4部門を受賞した映画『バードマン』の音楽監督と言うとピンとくる方もいるのではないでしょうか。もともとジャズドラマーとして多忙を極めていましたが、映画『バードマン』の大ヒットによって音楽コンポーザーとしての才能も広く認められるようになりました。

 

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Antonio Sanchez 画像元: https://goo.gl/2WtjBi

 アントニオ・サンチェス

1971年11月1日 メキシコシティ出身。
5才からドラムを始め、10代でプロ活動を開始する。
90年代に渡米しボストンで活動し、99年にニューヨークに活動の場を移す。
パット・メセニー、チックコリア、マイケル・ブレッカーなどのスーパーバンドでドラマーとして活躍する。特にパット・メセニーからの信頼は抜群。
リーダーバンド『マイグレーション』を率いて現在活動中。
高名な俳優イグオ・ロペス・タルソの孫。

 

それでは曲の紹介にまいりましょう。

 

1.Grids And Patterns
ピアノのイントロから始まるオープニング曲。
ピアノ、テナーそしてヴォイスが絡み合って浮遊感漂う壮大な曲に仕上げています。
反復するピアノリフにやられます。
中盤からのシーマス・ブレイクの怒涛のテナーソロが圧巻。

 

2.Imaginary Lines
スペシャルゲストのタナ・アレクサのヴーカル曲。
スローな曲調に彼女の綺麗な歌声がフィットしています。
ピアノとのバランスも最高です。

 

3.Channels Of Energy

エレクトリックでトリッキーなコンテンポラリープログレジャズ。
少し間違えるとノイズにしか聴こえないような音を上手くコントロールしています。
シーマス・ブレイクのEWIソロも聴きごたえ充分。

 

4.Magnetic Currents
アナーキーなテナーから始まる一曲~次曲へのメドレー曲。

 

5.Pathways Of The Mind
ラストに相応しい物悲しくも美しい20分を超える大曲。
オープニングのクセになるピアノリフがテンポを遅らせてエンディングに再登場します。
アルバムタイトルのスイート(組曲)にも納得させられます。

 

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ANTONIO SANCHEZ & MIGRATION  画像元 : https://goo.gl/Oc7oK0


アルバムタイトルの『メリディアン』とは、こんな意味だそうです。

メリディアン/meridian[名詞]
1.地球の両極と地球表面のある地点を通る経線の一つの円。
2.天球の両極と観測者の天頂を通る大円。
3.身体で生命エネルギーが流れるとされる経路。

2012年のパット・メセニーグループのツアーの旅の途中の2年間、自分の時間が取れないなかでも、少しづつ貯めてきたアイデアを一気に放出し一つの経線にした作品がこのアルバムです。

『Meridian Suite』(生命エネルギーが流れる経線の組曲)アルバムタイトルに納得させられますね。

このアルバムでは、マイケル・ブレッカー亡き後、次世代テナーの筆頭のシーマス・ブレイクを全面フィーチャーし、そして歌姫タナ・アレクサとの融合にも見事に成功しています。

オープニングのピアノリフ~エンディングのテンポを緩めたピアノリフ、最高です。

人間は繰り返しに弱いですね。

 

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Antonio Sanchez 画像元: https://goo.gl/OPxzps

今月はアントニオ・サンチェス&マイグレーション『メリディアン・スイート』

現代最高峰コンテンポラリージャズアルバムの紹介でした。
それではまた来月お会いしましょう。

 

株式会社 蝶道社 オーナー 紺田晴久