― 麻生社長が実行委員を務めていらっしゃる、札幌国際短編映画祭について、お伺いいたします。今年は記念すべき第10回目ということで、10月7日からスタートですね。何年目から運営に携わっていらっしゃるんですか?
麻生「創立の年から関わっています。今年で10年目ですね。」
― 麻生社長がプロデューサーを担当されているのは『アジアンタイフーン』というプログラムですが、アジア短編部門というのは、映画祭創立当初からあったのでしょうか?
麻生「最初はなかったんですよ。札幌で映画祭が始まる前から僕は個人的に『釜山映画祭』などに参加していたんですが、あちらの方がはるかにレベルが高かったんですよね。上映作品にしても、日本国内でヒットした巨匠監督の映画をあちらの映画祭へ持っていくと、落選するんです。ひと昔前まで、日本で大手プロダクションの映画監督になるためには、助監督を10年やってね、頭が古臭くなった頃にやっと監督になれる。という風習があったんだけれども、岩井俊二監督なんかは、そこをすっ飛ばして、若い感覚でインディーズみたいな映画を作ってヒットさせたんです。そうすると、国内の古い映画関係者から叩かれるわけですよ。そういった新しい日本の潮流を救ったのが、釜山映画祭ほか、アジアの映画祭だったんです」
― 海外の映画祭に単身、自費で参加し続けていらっしゃった麻生社長の努力で、現地の映画人との交流が生まれて、札幌国際短編映画祭にもアジア部門が創設されたんですね。アジア部門への作品応募数はどれくらいありますか?
麻生「アジア部門は日本の作品も入れると600本くらい届いてます。韓国、フィリピン、インドネシア、タイ、インド。我々日本人は無意識に自分達がアジアで一番優れている。と考えがちだと思うんですが、映画技術で優れているのはどこか?というと、やっぱり、韓国。そしてフィリピンなんですよね。ただ、技術だけでいってしまえば、映画にお金をかけられる、アメリカ、イギリスには敵わないですから、そういうこともひっくるめて『アジアの映画を育てる』という視点から『アジアンタイフーン』という部門を創設したんです」
― やはり、韓国の映画というのは海外での評価も高いんですか。
麻生「世界の有名な短編映画祭で賞を受けるアジア短編といえば、だいたい韓国映画です。日本は今、全然、敵わない」
― 日本映画には、何が足りないんでしょう?
麻生「韓国映画は、作品のテーマが社会と密接にからんでる。日本の映画は家族、個人、絆、といった内面世界が主流ですよね。もちろん、それを表現できる役者とスタッフがいれば、素晴らしい作品になるでしょうけれど、映画の登竜門である短編映画の規模では実現するのが難しいのかもしれない」
― 今年の『アジアンタイフーン』の上映作品は選出されましたか?
麻生「はい。決めました。今年はね、インドがいいですよ。インドって今でも映画が娯楽の国じゃないですか。これまで短編はあまりピンと来なかったけど、今年は魅力あったなあ!」
― 『アジアンタイフーン』上映はいつですか?
麻生「10月11日(日)12時と、10月12日(月祝)18時からの2回です。場所は札幌プラザ2・5(札幌市中央区南2条西5丁目※狸小路5丁目)の地下会場です」
― アジア各国の短編映画が観られる、札幌国際短編映画祭スペシャルプログラム『アジアンタイフーン』、今年はインド映画に注目です。貴重な機会ですね。皆様是非、足をお運びください。
札幌国際短編映画祭 公式ウェブサイト
http://sapporoshortfest.jp/
スペシャルプログラム『アジアンタイフーン』
http://sapporoshortfest.jp/15/programmes/asian