サックス奏者 門田”JAW”晃介さん インタビュー


PEZ門田JAW晃介

PE’Zブレイク!そして、解散に至るまでのジレンマ

― 大学を卒業してPE’Zを結成したときのことを教えていただけませんか?

門田:PE’Zは学生時代の仲間というか、それぞれ色々なバンドに所属していて、その仲間内のバンドの中からそれぞれ引っ張ってきて集まったバンドでした。

― 誰かが立ち上げたんですか?

門田:立ち上げは、トランペットの大山さんがリーダーとしてそれぞれメンバーを引っ張ってきて始まったバンドです。

― そのPE’Zを何年やったんですか?

門田:16年です。大学在学中の最後の年の10月にインディーズとして初めてのCDを出しました。卒業した年にさらに二枚インディーズを出して、その翌年にメジャーデビューをしました。

― PE’Z解散後から現在に至るまでをお聞かせください。

門田:2015年12月19日がPE’Zの最後のライブでした。PE’Zを始めた頃は、ぼくらも20代前半で、自分が通ってきた色々な音楽の良いところを集めて独自のものができないかと考えていました。ジャズって、わからない奴は入っちゃいけないような空気があると思うんですよ。自分たちはそれを取っ払って、もっと親しみやすいながらもジャズのカッコ良さを取り入れた音楽をやってみたいと思ていて、それがPE’Zの最初のコンセプトでしたね。

― PE’Zは新鮮な存在でしたね。

門田:ぼくらなりの表現が、世間にちょっと物申すような生意気さもあったのか、なんだか勢いのある若い奴らがジャズっぽいけど変わってる面白いことやり始めたなっていう風に受け入れられたんですよね。それには運もあったと思いますが、時代にちょうどマッチしたんだと思います。色々な偶然も重なってデビューと同時にブレイクして、新しいものを作りたいという勢い先行、まさに若さの特権でしたね。

― すごくいい流れでしたよね。

門田:でも本当はそこからさらに経験を積んで、出す音にもっと説得力を持たせなければいけなかったんですが、そうい部分が後半は乏しかったんです。これはあくまでぼく個人的な印象ですが。音楽を続けていく上で、メンバーそれぞれが色々な活動をして様々な音楽を吸収できれば良かったんですけど、ぼく個人に限っては色々なしがらみをはねのけてでもそれをやってのけるというエネルギーがその時は足りなかったと思います。

― そうだったんですか。

門田:バンドを続けながら自分の経験が足りなかった部分を何とか取り戻したいと思ってはいましたが、自分勝手に色々やるわけにもいかないジレンマの中で解散という話が出ました。ぼくはちょうど30代後半だったので、これは考えようによってはある意味で自分にとっては最後のチャンスなのかもしれないと思いました。今やらなかったら、この先はやり直すのも気力的にも体力的にも無理だし、かといってこのままの姿勢で音楽を続けていても絶対どこかで限界が来るなというのが見えていました。それで解散に同意することにしました。


BARB

BARB結成。ジャンルと世代を超え集結した音楽性

― BARBはどのように結成したんですか?

門田:PE’Zの最後の時期に、新しい世代のミュージシャンと交流するイベントを主催してヤセイコレクティブというバンドを呼びました。ドラムの松下マサナオ君、ベースの中西道彦君が、そのあともセッションに呼んでくれたりして。そうした流れの中で、手伝って欲しいという話をしました。そうしたら、彼らの紹介で宮川純君(key)も入ってという流れでした。

― 良いご縁でしたね。

門田:BARBは、自分が通ってこなかった経験をする場として理想的だと思いっています。ぼくにとっては本当に最高の3人で、メチャメチャ刺激的で力になっていると感じています。

― 昨日のライブは本当素晴らしかったですね!サンプラーを使ったりとてもユニークでした。

門田:サンプラーを使うのは、ベースのミチ君の十八番で、こう言うのをどんどん使っていきたいと言う話しをして。このメンバーだったらどんな音楽やったらいいのかって引き出しと照らし合わせて、今があるという感じです。バンドとしては今後、今ある引き出しが淘汰されていったり、別の新たな引き出しができたりと変化していくのだろうと思います。

ぼく個人としては興味自体が色々なところにあるので、もっと生音のみのサックス一本で勝負するようなものにもすごく興味ありますが、そこは今後の修行次第です(笑)

― 昨日のライブでは、気持ちよく吹いているなと感じました。

いやいやいや〜。気持ちいいどころかぼくはギリギリ、一杯一杯ですよ(苦笑)。もし気持ちいいところがあるとすればそれは他のメンバーがぼくの意図を汲んでくれて音楽的に支えてくれている上で演奏できたことだと思います。

ガチンコで色々な音をぶつけて、それが気持ちいいんでしょうね。キツイんですけど、今自分が持ち得る最大限の力をガチンコでぶつけて音楽的なやりとりをするということ。もちろん他の現場でも常にそういう意識で臨んでいますが、BARBではその自分のガチンコに他のメンバーが応えてさらなる高みに連れていってくれるというところが頼もしく、誇らしいです。

PE’Zの良さってキャッチーなメロディーにあると一般的には言われていたかもしれません。もちろんそれも良さの一つではあるのですが、メンバーそれぞれが持っている熱を音でぶつけ合っていたところが良かったなとぼくは思うんですよね。ジャズって技術の面ばかりクローズアップされがちですが、本質的にはそういうところがあるじゃないですか。

アドリブの中でメンバーとやり取りをする中でどんどん場が活性化するというか。そういうところにお客さんも盛り上がるし、それが新しいバンドになってからも自分が大事にしたいところの一つでした。BARBのメンバーの3人は間違いなくそういうスキルを高い次元で持っているメンバーです。

― 昨日、来場されたファンは圧倒的に女性が多いですよね。

門田:そうでしたか。ちょっと多目でしたね。

― 普通、ジャズだと結構おじさんが多いかなと。ファン層が違うなぁと思いました。

門田:広く間口を広げたという意味ではPE’Zの貢献度はあると思っています。

― 2016年SOFFetのピアニストYoYoと二人のクリスマスライブ「JAW meets Pianoman」はすごく楽しかったですね。メロディアスで。実は昨日のライブで門田さんがあんなに思い切り吹くんだと本当に驚きました。まさにジャズですよね。

門田:そう感じていただけたのは素直に嬉しいです。ジャズと一言に言っても幅は広いですけども、まぁBARBがジャズであるかどうかはさておいても、いわゆるジャズは好きですしリスペクトしています。

ジャズの理解を深めるというところは、一生勉強し続けていかなければいけない部分だとぼく自身は思っているのですが、それを前面に出してお客さんに敬遠されちゃうのも嫌なんです。難しそうとかいうことが聴く前から先入観として頭に入ってしまって敬遠されるというのはマイナスだなと。だからPE’Zで培った敷居の低さがあって、聴いてみたらちょっと良いもの聴いたなっていう風に、また音楽を聴く幅を広げるきっかけになってもらいたいというのが、BARBのコンセプトの一つでもあると思っています。

― BARBの今後の活動について教えていただけますか?

門田:今の段階としてはPE’Zのサックスの人が何か新しく始めたらしいというだけで、具体的にはわからないというところにいるのかもしれません。まずBARBを認知をしてもらって、ゆくゆくは「BARBの門田さんは昔PE’Zっていうバンドをやっていたらしいよ」となるまで活動を地道に続けていくことが一番の目標だと思います。フェスに呼ばれたりするとお客さんの層も広がるので機会があればどんどん出たいですね。
近い予定では5月24日に六本木VARIT.でTRI4THやBimBamBoomと一緒のイベントに参加します。

― BARBを除いて、門田”JAW”晃介として今後のライブとか予定などがあれば教えてください。

門田:4月末はマリンバ弾きのシーナアキコさんのステージに呼ばれています。5月は大竹創作さんという、大学時代のサックス科の先輩で歌ってピアノを弾く人とデュオで神戸の078というイベントに参加する予定です。それからPE’Z時代にお世話になったs-kenさんが歌うステージのホーン・セクションとしてビルボードライブ東京にも出演します。7月にはトランペットの類家心平君のバンドで青森の南郷ジャズフェスティバルに出る予定もあります。

― 色々なミュージシャンと交流がありますね。

門田:自分が繋がりたいと思う人と直感的に一緒に音楽をやって、その中から得られる経験をBARBに還元していけたらと思っています。YoYoと二人のライブ「JAW meets Pianoman」も昨年末は初めて全国をまわれたんですよね。今年も規模を拡大できるかわかりませんが、なるべくたくさんライブをやっていきたいです。

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