『フォトグラファーchinoの写真館』【28】水鏡

『フォトグラファーchinoの写真館』の第28回は『水鏡』がテーマです。お愉しみください。

支笏湖

​札幌から苫小牧へ向かう際、わたしはよく支笏湖のそばを通る。
先日、例にもれず、支笏湖線を通った際にふと支笏湖へ目をやると、風のない湖面に景色が完璧に映り込んでいた。
​支笏湖の「水鏡」は春の風物詩と言われているが、狙って見に行くことは中々難しい。普段もたまに一部が映る姿を見ることはあったが、山の頂まできっちり反転した姿が見られたのは本当に久々だった。それも平日の真昼間に。
週末ともなれば、観光バスも走り、レンタカーも増え、観光客で賑わう支笏湖だが、平日の昼間はわりと閑散としている。
そんな観光客もいない静かな時間、誰に見せるでもない自然がただそこにあった。その自由で雄大な美しさに、思わず足を止めて見入ってしまった。

nepiaアイスアリーナ

​この自然の鏡とは対照的な「水鏡」が、苫小牧の市内にある。
nepiaアイスアリーナで、スケートのオフシーズンの一時だけ現れる景色だ。
​リンクの氷を溶かした跡を水鏡にするという試みで、苫小牧市スポーツ協会がイベントとして毎年一般公開している。
今年は照明やレーザーを駆使して、暗闇の中に光が溶け込んでいるような、幻想的な雰囲気になっていた。光の海を歩いているような、どこか現実離れした浮遊感を覚える。支笏湖の静寂とはまた違う、知覚を揺さぶられる面白さがある。

​支笏湖の鏡は遠くから眺めることしかできないが、ここは自分から中に入っていけるのが醍醐味だ。
普段は氷が張っているリンクが大きな水溜まりになっている様子は、それだけで楽しげだり
中に入ることが出来るので、思う存分ジャブジャブと水の中を走り回れる。子供たちがバシャバシャと水面を揺らし、反射する光を散らしながら楽しそうにしている姿は、このイベントならではの光景だ。
​氷を溶かした後の土日、たった2日間だけ見られる特別な景色。この時期に苫小牧へ行くなら、ぜひ家族で体験してみてほしい。
入場料はかかるので、ぜひ苫小牧市スポーツ協会のホームページやSNSをチェックして欲しい。
今年はもう終わってしまったが、ぜひ来年の開催を楽しみにして欲しい。

公益財団法人 苫小牧市スポーツ協会 TSPO