音楽紹介 [39] 『Kirkatron』

皆さんこんにちはサックスプレイヤーの門田です。

いやはや今年の夏は本当に暑くて参っちゃいますね、、しかも関東は梅雨明けも早く、これからも猛暑との闘いは続きそうですが、、、。

こういう時はついつい通常通りにいかないことに苛立ったりしがちですが、まぁうまくいかない時は生きてるだけで儲けもんというところに立ち返ってぐっとこらえていきたいもんです。

まだまだ夏は続きますが、楽しめるとこは楽しみつつ、しっかり休みもとって過ごしましょう◎

さてここ数年毎年クリスマス恒例としてライブを重ねてきた、ぼくJAW(Sax)とYoYo(Pf)によるユニットJAW meets PIANOMANですが、今年は初めて夏の単独ライブを先日7/7七夕の日に行いました。

恒例でやってきた曲はもちろん、この二人のために作ったオリジナルも初めて披露したり、ここまで積み重ねてきたものと、ここから先新たに挑戦していきたいことの両方が見えた節目のライブになったと思います。

今年も全国回るべく今から準備していますのでお楽しみに!!

そんな先日のライブでも披露したナンバーにローランドカークの”Serenade to a cuckoo”という曲があります。

邦題”カッコーのセレナーデ”と題されたこの曲。曲中にカッコーの鳴き声を模した笛の音が出てきたり、曲自体もまさにカッコーな感じのユニークなナンバーなのですが、この曲は6月に自分の定期セッション”Jaw Jamming Yard”にゲストとして出演してくださった大口純一郎さんが紹介してくださった曲。

一聴して、これはJmPのレパートリーにしたい!と思ったんですが、やってみたらこれがまたバッチリハマって◎でした。

ということで今日はそんな”Serenade to a cuckoo”の収録されている”Roland Kirk”の”Kirkatron”を紹介します。

 

 

Kirkatron
Rahsaan Roland Kirk

 

 

 

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~収録楽曲~

1 Serenade to a Cuckoo

2 This Masquerade

3 Sugar

4 Los Angeles Negro Chorus

5 Steppin’ into Beauty

6 Christmas Song

7 Bagpipe Medley

8 Mary Mcleod Bethune

9 Bright Moments

10 Lyriconon

11 Night in Tunisia

12 J. Griff’s Blues

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”Serenade to a cuckoo”自体はこのアルバムより少し前にスタジオ録音で収録されていて、今回紹介する方は1975年のモントルージャズフェスティバルでのライブ音源。

ローランドカークのソロの最後にピュイーン⇅ってコミカルな笛の音が鳴るんですがそれでもう会場大盛り上がりというなんとも聴いていて微笑ましい録音です。

この笛もソロを吹き終えたローランドカーク自身が持ち替えて吹いているんでしょう。

そんな形でサックスやフルートのみならず、たくさんの楽器を一度に操るローランドカークのプロフィールからまずは紹介します。

ラサーン・ローランド・カーク

(英: Rahsaan Roland Kirk、1935年または1936年[1]8月7日 – 1977年12月5日)は、アメリカのジャズ・ミュージシャン。

盲目でありながらサクソフォンやフルート、トランペット、オーボエ、ピッコロ、イングリッシュホルン、リリコンなど、多種多様な管楽器を演奏した。気迫がみなぎる演奏で知られ、舞台上での超絶的な即興演奏には、コミカルなおふざけや政治的な暴言、複数の楽器を同時に演奏する技能が加わっていた。数本のサクソフォンを首にぶら下げ、大柄な体躯に黒眼鏡をかけたいかつい風貌や、鼻でフルートを鳴らしながらスキャットを奏で、時に自ら歌い、手回しサイレンやホイッスルなども手に取って鳴らすといった演奏形態が奇異に受け取られたためか、日本国内では「グロテスク・ジャズ」と紹介されていた時期もある。反面、近年では、形にとらわれない奔放なスタイルや、パワフルで親しみやすく、かつブラックミュージックの伝統に根ざした表情豊かな演奏によって、ジャズにとどまらない多様な方向性を感じた若い世代から信奉されている。

music201807_05

Rahsaan Roland Kirk 画像元: https://bit.ly/2LrwoMM

 

”グロテスクジャズ”って、、すごい言われようですね笑

プロフィールのカテゴライズでも、アバンギャルドとかフリーとかに分類されるのをよく目にしますが、音を聴くとそんな先入観の枠にとどまらない音楽が聴こえてきます。

”ただ自分の中に流れている音を忠実にアウトプットしようとしているだけだ”というような内容の記述もあり、多くの音楽家がそうであるようにこの人もまた、自分の中にある音世界に忠実に生きた結果こういうスタイルになったのではないでしょうか。

”Serenade to a cuckoo”に続くナンバーはジョージベンソンやカーペンターズのカバーでも広く知られる”This Masquerade”
この曲が大ヒットした直後という時代の流れの中でポップソング最前線をひょいとカバーしてみせるあたりも、ジャズミュージシャンとしては「流行りのウタなんて恥ずかしくて演れるか」となりがちなところをさらりとやってのける感じが、自分の感性の針が振れてりゃなんでもいいんじゃい!という自由さを感じられてぼくはとても好きです。

更に続くナンバーには同じくテナーサックス奏者の大御所スタンリータレンタインの名作”Sugar”。ブルージーな旋律がテナー吹きに好まれるこの曲はぼくも昔から大好きな曲で、自分のバントBARBでもライブではカバーしてやったりしていますが、ここではボーカルをフィーチャーしてアレンジの利いたスタイルで演奏しています。

 

Rahsaan Roland Kirk 画像元: https://bit.ly/2uP3v2H

 

そしてそしてアルバム中盤には何故かクリスマスソングが、、!?
この辺りもJmPとして非常に参考になるところであり繋がるところでもありますね。

アルバム後半で面白いのはリリコンという吹いて鳴らすシンセサイザー(いわゆる電子サックス的な、、)を使ったりしているところです。

日本では何と言ってもF-1のテーマで大ヒットした”T-SQUARE”(当時はTHE SQUARE)の”TRUTH”での音で耳馴染みがあるのではないでしょうか。

現在ではウインドシンセサイザーと言われたり、形も色々なものが出て一般的になっていますが、このアルバムが発表された当時はまだまだ開発途上の実験的な楽器であったはずです。

 

リリコンⅡ画像元 : https://ja.wikipedia.org/wiki/リリコン

 

固定概念とか先入観とかにとらわれずまずやってみるという姿勢が、音やこうした挑戦に見て取れると思います。

そして更にその後に収録されているスタンダードナンバー、”Night In Tunisia”は、バックにゴードン・エドワーズ(B)、コーネル・デュプリー(Gt)、リチャード・ティー(Key)という布陣を起用して、バンド”Stuff”的なカラーで演奏されていること。

Wikipediaには彼らがこの曲を知らなかったのでローランドカークが怒って、、というエピソードが載っていたりするのですが、そんなことは流石に有り得ないと思うんだけどなぁ。。

想像するに、同じバンドでやっている3人がいつもの自分たちのノリでやり始めたんで、「オイオイ!お前らこの現場では俺のイメージ通りにやってくれよ!」ってなったのを大げさに言われているだけのような気がします。あくまで推測ですが。。

まぁいずれにせよレコーディングに際し一悶着あった曲のようです。

しかしやっぱり特徴的なサウンドを持つバンドのメンバーが何人か集まると、そのノリってどうしたって出てくるんですね。

これはもうほんと”ノリ”としか言いようがないと思うんですが、これがバンドサウンドの面白いところの一つでもあるんではないかなと。

意図的にそういう雰囲気を作る時もあれば、必死にそれを出すまいとしている時もあると思いますが、そうした本人たちの意図とは別に、滲み出ちゃうもんてのが音楽の核心なのかもですね。

 

Rahsaan Roland Kirk 画像元: https://bit.ly/2uP3v2H

 

さぁそんなこんなで、セッションなどでこのような曲との出会いもあったりするわたくしですが、そんな出会いから色々を吸収しソロだったりデュオだったりバンドだったりで下半期もライブを重ねて行きたいと思います。

8/20(月)は東京自由ヶ丘hyphenにて前述のセッションイベントJJY vol.3をアルトサックス前田サラ&ギター白石才三を迎えてトリオにて

9/17(月・祝)~18(火)は山形〜仙台を前述のBARBで

10/27(土)はまだ詳細発表されていませんがJJY vol.4をテナー吹きの石川周之介さんとのデュオでやる予定です!
そして12月にはまたJmPとして全国を少しでも多く回れるよう企画進んでいますので皆さまお楽しみに!!

 

                                                              2018年7月 門田”JAW”晃介

 

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