音楽紹介 [66] 『Thelonious Monk and Sonny Rollins』

タシナムをご覧の皆さまご無沙汰しておりますサックスの門田”JAW”晃介です。

色々あった2020年も残すところあとひと月ほど、、

今年はミュージシャンにとっても何かと試練の年となりましたが、外に出ていけない今だからこそ自分の音楽の原点についてじっくり向き合ったり、練習環境を整えて今までだったら考えもしなかったような自宅からの配信ライブにもチャレンジしたりということに時間をかけられたある意味では贅沢な時間だったとも思っています。

いやまぁ本当に苦しかったですけど、、笑

今までもひとつの成功体験を支えたのはそこに至るまでの苦しい時間だった、ということを思い出して明日に希望をつなげることに集中しそれを積み重ねた1年、なんとか年末までたどり着けたことに感謝です。

締め括りとして12月20日(日)には再度自宅からのライブ配信をする予定で、こちら↓↓↓のページからどなたでもご覧いただけるので是非ご覧ください!

12/20(SUN) Kadota”JAW”Kousuke Solo Live Streaming

前回に引き続きお取り寄せ企画もお楽しみに♪

さてそんな中久々の音楽紹介、今回ご紹介する一枚はこちら。

本日ご紹介するのは、、

 

 

Thelonious Monk and Sonny Rollins 』

 

 

 

 

ジャズピアニスト”セロニアス・モンク”がテナーサックスの巨匠”ソニー・ロリンズ”を迎えて制作したアルバム。
録音は1953年から54年にかけて3回ほど行われたものをまとめて1956年にリリースされたようです。

後年に同じくモンクのアルバムでソニーロリンズが参加している『ブリリアント・コーナーズ』の方はモンクの代表作として広く知られていますが、その前に作られたこのアルバムはあまり取り上げられているのを目にしたことがない気がします。
そんな訳で隠れ名盤を紹介するこのコーナー、今回はこのアルバムを見て行こうかと。

5曲入りで30分そこそこのボリュームということで、アルバムとしてはライトな感じで、しかも双頭名義のアルバムなのに5曲中ロリンズが吹いているのは3曲という、、。
意図せずなんとなく録り溜めたものをアルバムにまとめたのか、どういう経緯でこうなったのかは分かりませんが、そんなちょっと変則的なアルバムです。


Thelonious Monk 画像元: https://bit.ly/39qJS6f

【収録曲】

1.The Way You Look Tonight

2.I Want to Be Happy

3.Work

4.Nutty

5.Friday the 13th

Personnel
•Thelonious Monk – piano
•Sonny Rollins – tenor saxophone on “The Way You Look Tonight”, “I Want to Be Happy” and “Friday the 13th”
•Julius Watkins – french horn on “Friday the 13th”
•Percy Heath – bass on “Work,” “Nutty” and “Friday the 13th”
•Tommy Potter – bass on “The Way You Look Tonight” and “I Want to Be Happy”
•Art Taylor – drums on “The Way You Look Tonight” and “I Want to Be Happy”
•Art Blakey – drums on “Work” and “Nutty”
•Willie Jones – drums on “Friday the 13th”


Sonny Rollins 画像元: https://bit.ly/3l6x1YO

一曲目からみていきましょう。

冒頭は古くからジャズメンの間でも親しまれてきた『The Way You Look Tonight』
メロディーラインのフェイクの感じとかがとてもロリンズらしくおおらかで気持ちよいスイングナンバーになっています。

そして続く2曲目はこれまたスタンダードナンバーの『I Want to Be Happy』
このコーナーでも以前紹介したスタン・ゲッツとオスカー・ピーターソンのアルバムにも入っているナンバーですが、ゲッツのガンガン前のめりに加速していく感じとは対照的に、こちらもロリンズらしくのびのびと牧歌的なアレンジに。

ここまでの2曲はワンホーンカルテット編成で、テーマだけ聴いているとモンクとのアルバムということを忘れそうな、アクの少ないストレートな雰囲気ですが、いざピアノソロとなるとモンク御大の絶妙な長い間合いと、ぶつかり合う音をハーモニーにうまく乗せるモンク節が随所で炸裂しています。


Thelonious Monk 画像元: https://bit.ly/3lYwBFf

そして3曲目と4曲目はモンクのトリオ編成でオリジナル『Work』と『Nutty』を。

アルバムラストは再度ロリンズを迎え『Friday the 13th』というこれまたちょっと不気味なタイトルのモンクオリジナルナンバー。

タイトルの割に曲の雰囲気はコミカルというか、、なんかギャップ萌えな曲で、ジミーヒースの『C.T.A.』の最初の進行をひたすら繰り返すという、ミュージシャン的にアドリブソロをとる感覚で言うとちょっと嫌だなぁ、、と敬遠してしまうような進行を全く難なく早いフレーズ吹きまくりでねじ伏せるロリンズのプレイは流石。ソロの合間にはその『C.T.A.』のテーマもちらっと顔を出したり。

いやしかし年齢計算するとロリンズはこの時20代半ば、、この時から本当に素晴らしいプレイヤーだったのだなと改めて感嘆してしまいます。そしていまだに現役としてジャズ界に君臨するというからこれまた驚き。。まさに生きた伝説。

ちなみにソニー・ロリンズは現在御歳90歳とのこと!

70代後半の頃に来日した時のライブを観に行ったときは、失礼ながら「もうソロとかもあまり吹かないのではないかな、、」とか「生で観れるのは最後かもなぁ、、」なんて勝手に思い込みながら足を運んだのですが、蓋を開けると全く予想外の音の迫力と艶で、しかもその後も度々来日するというバイタリティに何度も驚かされたのを思い出しました。

誰もが真のジャズジャイアンツと認めているにもかかわらずそんなことにあぐらをかかずに、いくつになってもあくまで自分の中の理想の音に向かってひたすら磨きをかけている姿勢が本当に素晴らしかったし、なによりそういった想いが音から溢れていて、願わくば自分もそんな風に音楽を続けていきたいと強く感銘を受けたものでした。

いやぁ、自分も少しでも近づけるようにあせらずサボらず続けていかねば!!


Sonny Rollins 画像元: https://bit.ly/3m2QxGV

さてさてそんな訳で今回はモンクの曲を聴いてきましたが、やっぱりクセになるというか、中毒性がある気がするんですよね、モンクの曲って。12/20の配信でもモンクの曲やってみようかな、、。

ということで年末の配信も是非是非ご覧ください!

この1年の経験がどんな意味をもって未来につながっていくかはわからないですが、振り返ってこの時間があったからこそ今があると言えるような将来になるよう、来年も日々を積み重ねたいと思います。

それではちょっと早いですが、、今年も1年ありがとうございました!皆さま良いお年を!!

追記:現在ソニー・ロリンズはご存命ながら演奏活動は行なっていないようです。ジャズの歴史の中核を担った生き字引として、どうか長生きされて多くの逸話を後世に伝えてほしいと願っています。

2020.11.25
門田”JAW”晃介

 

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