音楽紹介 [51] 『Soul Station』

皆様こんにちは。

サックスの門田です。
一人ツアーも無事終わり、札幌では某アイドルグループさんのドームツアーに丸かぶりで、宿は取れない、飛行機の手配も悪戦苦闘するという、まるで嵐に遭遇したかのような(伏せ字になってない)中々に壮絶な経験をさせていただきました。
いやぁ、まぁでも考えようによってはこの歳になって毎日外で練習するってのも貴重な体験だったりするので、色々と良い時間でした。

来年もまたソロ音源集を作り全国旅したいと思っていますので、ご都合つく場所へは是非是非遊びにいらしてください!

さてYoYoとのユニット、JAW meets PIANOMANとしては初の七夕東名阪ツアーも終えて、夏は福岡に行ったりが決まっていますが、早くもクリスマスに向けても動き出していますので年末お楽しみに!

そんなJmPの七夕ライブでもカバーした曲「This I Dig Of You」が収録されているのが、今回ご紹介します「Hank Mobley / Soul Station」です

 

Soul Station
Hank Mobley

 

 

 

 

まずはハンクモブレーについて。

ハンク・モブレーまたはモブレイ(Hank Mobley, 1930年7月7日 – 1986年5月30日)は、アメリカ合衆国のテナー・サクソフォン奏者で作曲家。本名はヘンリー・モブレー(Henry Mobley)。ハード・バップやソウル・ジャズのジャンルで活躍した。レナード・フェザーによって「テナー・サクソフォンのミドル級チャンピオン」と呼ばれたことで知られる。この隠喩は、モブレーが平凡であるかのような印象を持たせかねないが、実際にはジョン・コルトレーンほど鋭くもなければスタン・ゲッツほど円やかでもない音色を指している。付け加えると、モブレーの音楽様式は、とりわけソニー・ロリンズやコルトレーンと比較すると明らかなように、落ち着きがあって精妙かつ歌謡的であり、ジュニア・クックやジョージ・コールマン、ジョー・ヘンダーソンらに影響を与えたものの、その才能が識者に完全に評価されるには、モブレーの没後を待たねばならなかった。(wikipediaより抜粋)

全く意識せずに七夕ライブでこの人の曲を取り上げていたのですが、なんと七夕生まれなんですね!!!

うーん、これは来年からこの人の曲マストな気がしてきた、、。

さぁそんなひこ星テナー、モブレー。

「ジョン・コルトレーンほど鋭くもなければスタン・ゲッツほど円やかでもない音色」とかなんとか、半端もんみたいな言われ方してますが、コルトレーンにもゲッツにもない独自のファンクネスというか、シンプルでグルーヴィーなフレージングを持ったクール=カッコイイプレイヤーだと思います。

僕個人的にこの人はトランペッターのリーモーガンの相方というイメージが強く、それはこのSoul Stationの数年後にリリースされる「DIPPIN’」でも聴けます。

 

Hank Mobley 画像元: https://bit.ly/2K3EnMg

 

この「DIPPIN’」の中にはPE’Z時代にカバーしたRecado Bossa Novaも収録されており、とても日本人好みなメロディーラインでモブレーの録音の中でも人気上位にラインクインする名演だと思いますので、こちらもご存知ない方は是非聴いていただきたい名盤です。

さて話しを今回の「Soul Station」に戻しますが、、

リリースは1960年。
テナーワンホーンによるカルテット編成。
アートブレイキーのジャズメッセンジャーズに在籍したのとほぼ同タイミングということもあってか、本作にもドラムにアートブレイキーを迎えています。(アートブレイキーとの交流は活動初期からあったようです)

ジャズメッセンジャーズでのアートブレイキーは、とにかくリーダーとしてのオラオラ感全開というか、もちろん周りのメンバーが盛り立てているというのもあるんですが、俺様感が全面的に音に押し出されているように感じます。
しかしこのアルバムでのブレイキーは、サイドマンとしてのポジションに徹していてこれがまた非常にクール。

ただしソロになった途端に機関銃のようなスネア連打だったりのブレイキー節全開になってそれがまたまた良いのですが、ジャズメッセンジャーズの時とは一味違ったプレイが聴けるのがちょっと嬉しいというか。

アートブレイキーってジャズメッセンジャーズの大将イメージが強すぎて、他でのイメージが希薄というか、、
渥美清さんが画面に出てくると全部寅さんに見えちゃうみたいなとこあるんですが、
こういうミュージシャンのさりげない姿勢みたいなものも、それぞれリーダー作なのかサイドメンなのかで違いを見つけられたりするととても楽しかったり。

その他のメンバーはピアノにウイントンケリー、ベースにポールチェンバースと、いずれもマイルスバンドを始めジャズの歴史を作った名演に参加する錚々たるメンバーが集まっています。

収録曲は、、、

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1. “Remember”

2. “This I Dig of You”

3. “Dig Dis”

4. “Split Feelin’s”

5. “Soul Station”

6. “If I Should Lose You”

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Hank Mobley 画像元: https://bit.ly/2yejmci

 

1曲目の”Remember”は、以前紹介したジョシュアレッドマンもライブアルバムでカバー演奏している小気味良いテーマのスイングナンバー。
メローディーもキャッチーで、構造もすごくシンプルに見えて中盤に半音でコードが降りてくる箇所があって、アドリブソロを取る上ではちょっとしたスパイスになってたりします。

モブレーの曲にはこういったちょっとアクセントになるような半音進行の連続みたいのがちょいちょい出てきます。

続く2曲目はJmPでもカバーした”This I Dig of You”。
ラテンぽいテーマのAセクションとスインギーなBセクションを併せ持つ軽快なスイングナンバー。
セッションなどでも比較的よく取り上げられる曲のようです。。

3曲目はマイナーのブルース曲”Dig Dis”。。

テーマの合間を王道のコンピングでピアノがリズムの合いの手を入れる感じがなんとも◎。

4曲目もまたラテンぽさとスイングを行き来するタイプの曲”Split Feelin’s”。。

マイルスのOn The Green Dolphin Streetとかも同じようなリズムの構成で作曲年代も近いですが、この時期なんとなく影響されあったりしているのでしょうね。。

5曲目はタイトル曲”Soul Station”。
ゆったりとしたブルースナンバーで同じフレーズが繰り返されるテーマに一音ごとにジャジーなコードがあてられていてこれが気持ちいい。

 

Hank Mobley 画像元: https://bit.ly/2O3LGby

 

最後はスタンダードの”If I Should Lose You”を軽いアレンジが効いた演奏で締め。

ファンキージャズテナーの名手、ハンクモブレーの曲をこうして改めて見てみると自分でも取り上げたい曲満載でした。

自分の活動にも再度取り入れつつ、七夕には彼の生誕に思いを馳せてまた何か演奏したいと思います。

さてこれからいよいよ夏も真っ盛り。

今年は梅雨長いからその分凝縮された夏を楽しみつつ、適度に休みながら乗り切りましょう!

ではまた!!

2019.7.25

門田”JAW”晃介