日本でニュージーランド式のカフェを! ~夢が実現するまで
― 最初に日本へいらっしゃったのは、いつ頃で、どちらへ留学なさったんですか?
謝「2011年の9月に弘前大学へ留学しました」
― 最初に日本にいらっしゃったときの印象はどうでしたか?
謝「すごくきれいでした。僕は田舎の育ちで、田舎の雰囲気が大好きなんです。みんなが優しいし、のんびりできるから。そして、青森では色々な季節の風景が見られます。台湾もニュージーランドも1年ずっと景色が変わらない。青森に来て初めて雪を見て、春の桜、夏の花火、秋の紅葉を見ました。すごく感動して、人間は小さいな。と思いました(笑)」
― 青森弁はわかりましたか?
謝「全然わからなかったですね(笑)。ある時、どうしても珈琲が飲みたくて、札幌の友達と一緒に地元のおじいさんがやっている喫茶店に入りました。おじいさんが青森弁でお話するから、僕は、まったくわからなかったんです。友達はおじいさんといろんな話をしていたから、お店を出た後で『何話してたの?』って聞いたら、『わかんない』って(笑)。その頃、僕は日本語が出来なくてすごく自信がなかったんだけど、日本人にもわからないことがあるなら、僕も自信持っていいかな。って思いました(笑)」
― 青森の留学を終えて、ニュージーランドの大学を卒業した後は、すぐ日本へいらっしゃったんですか?
謝「留学した時に、日本でニュージーランド式のカフェをやりたい。という目標ができたんですが、まだ色々な準備が足りないと思いました。お店の管理とか、税務とかをどうしたらいいのかわかっていなかったので、ニュージーランドのお店に戻って1年勉強しました。その後、友人がオーストラリアでカフェをオープンするのを手伝って、日本へ来ました。それが2年前、25歳の時です」
― 札幌へ来て、すぐお店を開いたんですか?
謝「その時は住民票がなくて、ビザもなかったので、契約手続きが出来なかった。それで、英語学校で就労ビザを取って、住民票とか口座とか印鑑とか、仕事をしながら準備をしました」
― 英語の先生をしていらっしゃったんですね。教えるお仕事はどうでしたか?
謝「面白かったです。すごく好きでした。同僚もみんな優しいし、学生もやる気あるし。でも自分の目標があるから、好きだからといっても、ずっと先生をしているわけにはいかないかなと」
― その英語学校には、どれくらいいたんですか?
謝「8か月間です。最初は12か月の約束をしていたんですけれど、3か月早く辞めさせてもらいました。その言語学校の社長はすごく理解があって、『今、君の人生で一番大切なのがこの店のことなんだったら、学校のことは気にせずに自分の夢に集中してください』と言ってくれました。本当に感謝しています。どこかで恩返しをしないといけないと思っています」
― 良い方に出会えましたね。因みに、どちらの会社ですか?
謝「北海道グローバルリンクス という会社です」
― この物件が出てきたとき、すぐお決めになったんですか?
謝「コンセプトとして、お金持ちだけが通える高級カフェよりも、学生でも気軽に珈琲が飲めるカフェにしたかったんです。自分が学生時代、どうしても珈琲が飲みたいけどお金が無いっていう苦しい時があったので、学生を応援したいと思って、学生エリアの物件を探しました。」
― この物件に出会ったのは、いつ頃ですか?
謝「去年の12月です。お店のオープンは3月でした。準備期間は4ヶ月あったけど、内装は3週間で終わらせました。契約の関係とか、自分も色々な免許を取らなくてはならなかったので、実際に工事できる時間が3週間しかなかったんです」
― よく間に合いましたね!
謝「最初は3月10日オープンを予定していたんですが、3月5日オープンに早めました。前の学校ですごく仲の良い同僚がいて、その人の誕生日が3月5日でしたから、その日に合わせてお店のオープンパーティと友達の誕生日パーティを一緒にやりました。でも、僕は酔っぱらい過ぎて、誕生日の方は忘れちゃった(笑)。同僚もみんな来てくれて、お祝いしました」
― そこは台湾式なんですね。この日にしたかったら、なんとしてでも間に合わせる。
謝「無理やり間に合わせる(笑)」
― オープンから約半年が経ちますが、実際にオープンしてみて、感触はいかがですか?
謝「やっぱり、その時の自分は甘かったな。と思います。足りない部分が多くて、今はスタッフの頑張りで何とかなってますが、自分ももっとしっかりしなくちゃいけないと思います」
― どんな部分が足りなかったんですか?
謝「知識というか、センスというか、色々なことを自分の好き嫌いで判断してしまっていて、他の人の考えや知識を尊重できていなかったところです。オペレーションにも無理があったので、そこは自分に責任があります。オープンな心でみんなの意見も聞いて、自分でもよく考えて、答えを出すようにしていかないと。と気づきました」
― 変化しながら、この街に根付いていけると良いですね。お客様はどういった層の方が多いですか?
謝「意外と社会人が多いです。もう少し、学生向けにも広告していきたいと思っています」
― こちらのお店は落ち着いた雰囲気なので大人のお客様が入りやすいのでしょうね。店内に札幌の作家の絵が飾られていますよね?
謝「僕は個人的に美術に対して詳しくないんですが、地元の方と交流できる機会を作りたいと思って、お店の壁を皆さんへシェアしています。このお店を通じて、作家とお客様が交流できればいいことかな。と思ったんです」
CITY OASIS 代表取締役 謝宗儒 社長インタビュー 【1】 【2】 【3】 【4】