株式会社 満寿屋商店 代表取締役社長 杉山 雅則 インタビュー

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アメリカ留学とベーカリーでのパン修行 ~パンの現場はスペイン語が共通語

― 大学を卒業されて、その後、すぐ就職をされるのですか?

杉山「アメリカへ留学しました。最初の半年間は英語を勉強して、その後は、アメリカ製パン科学研究所(AIB)という教育機関があるんですけれど、そちらで4ヶ月間、勉強をして、最後の半年間はニューヨークにあるベーカリーで修行しました」

 

― あちらのお店でも修行なさったんですね。先に英語の勉強からなさった。英語はすぐ覚えられましたか?

杉山「そうですね。生活するには充分な程度にはなりました」

 

― 製パンの専門用語というのは特殊なんですか?

杉山「特殊ということはないです。ただ、パンの仕事で使う用語は限られているので、コミュニケーションをとるのは、それほど難しくはなかったです」

 

― どうして、留学先をアメリカになさったのですか?

杉山「日本のパンに使われている小麦のほとんどは北米産なんです。その生産地に興味があったのと、当時、アメリカは大変景気が良かったので、世界一の国に行ってみたいという気持ちがありました」

 

― 実際に行かれていかがでしたか?

杉山「楽しかったです」

 

― 留学はご自身でアレンジしていかれたのですか?

杉山「大学の顧問の先生が、アメリカの英語学校に伝手のある先生だったので、その関係でご紹介いただきました」

 

― アメリカでのお住まいは、ずっとニューヨークだったんですか?

杉山「最初はシカゴから近い、イリノイ州というところにある英語学校に居ました。次のパンの学校はカンザス州にありました」

 

― その学校もご自身で探して行かれたのですか?

杉山「はい。英語学校を出るときに、次の進路ということで、自分で探して決めました」

 

― 大学は工学を専攻して、その後、アメリカでパンの学校へ。その転向には何かきっかけがあったのですか?

杉山「20歳くらいまで、食べものについて意識したことがなかったんです。それが20歳を過ぎて、美味しいものを食べるということに興味が持てるようになりました。鹿児島県のベーカリーでアルバイトするようになって、パンの世界も面白いな、と思い、このままいけば、自分が家業を継ぐんだろうな。という気持ちもあったので、じゃあ、実家へ帰る前にもう少し見聞を広めたいな。と思ったのが留学のきっかけです」

 

― 行動力がおありですね。道内から出る、海外へ出るということに迷いはなかったですか?

杉山「特に無かったです」

 

― ご家族には心配されませんでしたか?

杉山「特別・・・、いや、どうなんですかね。心配したかもしれません(笑)」

 

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― 留学中に日本との違いを感じることはありましたか?

杉山「日本は主食がお米なんですけど、アメリカはパンが主食か? というとそうでもない。もっと多様性があります。ただ、食文化自体が豊かか? というと、あまり、そういう風には感じられませんでした」

 

― 多様ではあるけれど、豊かであるとは限らないんですね

杉山「日本だったら、夕食にファーストフードのハンバーガーだけというのは、ちょっとさびしいですよね。パスタをゆでても、調理しないで麺だけで食べるとか、ポテトチップスだけで夕飯を済ませちゃう。アメリカではそういう光景をよく目にしました」

 

― そういう国において、パンというのはどういう存在なんですか?

杉山「日本みたいにパンだけを食べるということは割と少なくて、ハンバーガーやサンドイッチの材料のひとつという感じです。アメリカ中西部では、安いパンが主流です。東海岸、西海岸には高級パンもあります」

 

― 杉山社長がアルバイトをしていらっしゃったニューヨークのベーカリーはどういったお店でしたか?

杉山「そこは高級志向のお店でした。ニューヨークの多くのレストランへパンを卸しているお店でした」

 

― あちらの高級志向というのはどんなこだわりがあるのですか?

杉山「日本と同じように、小麦の質や、天然酵母を使うなど、よい材料を使って作るという部分です」

 

― パン製造の現場では、どんな人が働いていましたか?

杉山「ニューヨークの製造業は、主に南米人が働いていましたので、現場ではスペイン語が使われていました」

 

― その環境にはすぐ馴染めましたか?

杉山「そうですね。わりとフレンドリーな人が多かったです」

 

― 杉山社長は、どこへ行かれても動じませんね。それは、元々のご性格なんですか?

杉山「うーん。それぞれのところでそれなりに楽しむことができるんです」

 

― 実に、バイタリティーがおありです。

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