台北 蘆洲『神将護衛体験之旅』


台湾には街のあちこちにお寺や廟があり、数々の神様が祀られています。そして、祀っている神様の誕生日や、決められた祭日になると『廟會』というお祭りが行われ、神様とその護衛が街をパレードします。護衛は『神将』と呼ばれ、何種類かに分類されているようですが、よく見かけるのは、こんな感じです。

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廟會 – Yuan World 画像元:goo.gl/4Ty0Bm

 
今回『台湾の神様を着る体験ツアーの取材に来ませんか?』という依頼を頂き、真っ先に思い浮かべたのが、2012年の台湾映画『 陣頭 』でした。廟のお祭りパフォーマンス『陣頭』をテーマにした映画で、その映画の中にも神様の着ぐるみ(?)が登場します。劇中では、主人公達と一緒に国道を走る神様や山に登る神様などが見られます。アレを体験できるツアーがあるなんて! 喜び勇んで取材して参りました。その名も、『神將護衛體驗之旅』。

 

場所は台北市の隣に位置する新北市『蘆洲』。台北市内の地下鉄・MRT板南線『忠孝新生駅』から始まる蘆洲線の終点です。その一つ手前の駅、『三民高中』で下車。1番出口を出て左手に見える『蘆洲故事館』を目指します。初めて訪れる地で神様着ぐるみ体験の旅。わくわくします。

 

 1) 蘆洲故事館 :Facebook  https://www.facebook.com/luzhoustoryhouse/

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蘆州故事館 画像元:goo.gl/yWdLin

  

『蘆洲故事館』は、蘆洲で学生時代を過ごした歌手、テレサ・テンの資料や蘆洲の今昔の資料展示を行うほか、カフェスペースが併設されていて、地域のイベントなどにも使われている施設です。先ずは、こちらの会場で蘆洲の歴史についてお話を伺い、ツアーの説明を受けました。

 

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台北の西、淡水河の下流に位置する蘆洲の『神将』の歴史は古く、およそ100年程前に大陸から来た彫刻師が3対の『神将』の頭を持ち込んだことが発祥とのこと。今でもその神将頭は蘆洲の廟に安置されているので、お参りに行くと見ることができます。

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解説とご案内役を担当してくださった新北市蘆洲愛郷文化教会の洪 理事長(写真左)とツアー企画者の黄代表(右)

 

蘆洲の歴史や成り立ちについてお話を伺った後は、早速、街へ向けて出発します!

 

 2)保和宮:Facebook  https://www.facebook.com/BaoHeShenJiang/

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 蘆洲故事館から歩いて数分で、最初の見学地『保和宮』に到着しました。装飾が美しい建物です。素晴らしく立派な金炉がピカピカに磨いてあり、当地の方々が大切に守っていらっしゃることが良く分かります。建物の中には、サイズの大きい神様から小さい神様までがズラリと並んでいらっしゃいました。神様の展覧会を行っているかのようです。『学問の神様』が集まるエリアがあり、そちらには学生たちが試験問題を投函する箱(写真右下『金
題名』)がありました。日常生活と信仰が自然に生活の中で共存していることがひしひしと感じられます。
 

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  3) 文武大眾爺廟:新北市蘆洲區成功路156之1號 

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続いて道を歩いていると、不意に現れましたのが『文武大眾爺廟』。パッと見は、台北市内で良く見かける普通の廟です。洪 理事長が、ちょっと覗いてごらん。という風にこちらを見ています。

 

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中を覗いてギョッとしました。大迫力の神将たちが所狭し並んでいます。
よく見れば天井も壮麗。こうした神様とこんな道端で出会えるのが台湾の魅力のひとつでもあります。

 

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 4) 湧蓮寺 公式web http://temple.lujou.com.tw/

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今回の取材のメインイベント。着ることができる神将が安置してあるお寺『湧蓮寺』に到着です。

こまごまとした商店街の真ん中に位置する湧蓮寺はとにかく巨大に見えます。また隅々まで手入れの行き届いた装飾が美しく、文明の利器である照明装置も神様と一体化しています。

 
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風水の考え方に基づいて、中国のお寺は南向きに建てられます。東には龍、西には虎のモチーフを配置して、お参りの際は龍の口(東)から入り、虎の尾(西)から出るのが正しい方法だということ。それほど厳密なルールではないようですが、その土地の習わしに沿ってお参りするとなんだか気持ちがいい。ちなみに、お寺に向き合って、右手(東)から入って、反対側から退場するのが『縁起が悪くない』方法だそうです。

 

さて、いよいよ着用体験できる神将と対面です。

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こうしてみると、結構大きいです。重たそうに見えますが、どうなのでしょう。一行を代表して、台南滞在歴2年、プロのブロガーとして活躍されている 前原さん が着てくれることになりました。

台湾在住だからこそ知ることができる。レアな現地情報を発信してくれる前原さんのブログはこちら(↓)
【あしたはもっと遠くへいこう】 http://maeharakazuhiro.com/

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台湾で活躍するブロガー 前原和裕 さん

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三人がかりで神様装着中

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装着完了!

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動き出す 前原神将

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軽快な足取りで進む 前原神将

   

思ったよりも軽快な足取りで、軽々と動いていらっしゃいます。これは体験用ということで、極力軽く作られているということでしたが、本来、祭事に使われる神将は木製で、重たいものは20~40Kgもあるそうです。

 

余談ですが、廟のお祭りも現代になってから多様になり、最近は神将が電子音にあわせて激しく踊る『電音三太子』というパフォーマンスもあるようです。是非一度見てレポートしてみたい! と思っております。

 【電音三太子】https://www.youtube.com/watch?v=c428G_mEA_w

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電音三太子 画像元:goo.gl/v99Y4e

 

神様の護衛体験をした後は、ガイド役の洪さんに指南していただき、お参りをして、おみくじを引きました。台湾のお寺には、老若男女問わず、いつでもいろんな人が神様に相談をしに来ます。現地の方に混じってこの土地の神様にお伺いを立ててみるというのも良いかもしれませんね。 

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老若男女問わず、お参りに訪れる方でいっぱいの 蘆洲『湧蓮寺』

  

そして、この湧蓮寺では子宝祈願もできるそうです。妊活中の方は是非お立ち寄りください。

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中国語で『産子』(子供を産む)と『鏟子』(シャベル)の発音が近いため、子宝祈願のお守りとしてシャベルが使われる

 

 

 

5) 龍鳳堂 公式web http://www.lft-cake.com.tw/lv_pro2_0.htm

龍鳳堂


蘆洲には老舗の飲食店が数多く残っています。今回は、新北市で開催される製菓コンテストで優勝した名店『龍鳳堂』にご案内していただきました。

こちらのお店では、普段使いのお茶菓子から、テレサ・テンの名前を冠した『麗君餅』、婚礼贈答用の伝統菓子まで、幅広い商品を取り揃えてあります。

 

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テレサ・テンの名前を冠した『麗君餅』

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婚礼贈答用の伝統菓子

 

そして、こちらがコンテストで全国1位に輝いた『烏豆沙蛋黄酥』(小豆餡と卵黄餡のパイ)。小豆あんの甘味と卵黄あんの塩加減が絶妙です。台湾風のパイ生地に包まれ、キラキラに輝くお饅頭。香りと苦みが際立つ台湾茶にぴったりのお菓子です。

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小豆と卵黄の相性が素晴らしい『烏豆沙蛋黄酥』

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キラキラと輝く『豆沙蛋黄酥』

  

このお店で『神将』グッズを発見しました。好運籤餅(好運の占いビスケット)

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老舗の菓子店が作るビスケットは一味違います。台湾特有のきめ細かい食感で、かみ砕くときには硬いにも関わらず、口ざわりは滑らかです。油が少なく、小麦粉の香りと甘みが実感できます。6種の占い籤のパッケージに包まれた遊び心あふれる好運籤餅。この街に来た記念品として、また、おみやげにはうってつけです。

 店長さんも『蘆洲愛郷文化教会』のユニフォームを着ていらっしゃいました。地域のお店とも連携して地域を訪れるお客様へ神将の町『蘆洲』をPRしていらっしゃるようです。

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6) 周烏猪切仔麵 Facebook:https://www.facebook.com/WupigZhou/

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蘆洲には切仔麵(台湾式あっさりラーメン)の名店があり、今回のツアーの締めくくりは切仔麵セットでお食事でした。

お店の入口から美味しそうな食材が並んでいます。
 

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こちらのツアーでは、このお店でのお食事がセットになって付いています。1人前は、切仔麵と青菜と油豆腐(台湾式厚揚げ)、痩肉(脂身の少ない茹で豚)のセットです。このお店では、旨み調味料は使用せず、豚骨と豚の三枚肉を使ってスープをとっているそうです。香り良く、穏やかな旨みがおなかにしみわたります。

 

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おなかが一杯になったところで、今回の取材ツアーは終了です。

このまま、蘆洲の街をそぞろ歩き、趣ある街並みや古い布街を眺めたりしているうちに夕暮れが近づくと、廟の周りには夜市が立ちます。台北市内からMRTで30分以内のお隣の都市、新北市ですが、やはりどことなく趣が違います。台北市内の観光夜市から一歩抜け出して、歴史ある廟を守り続ける街、蘆洲を一度訪ねてみてはいかがでしょうか?

 

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【神將護衛體驗之旅 ツアー詳細】

『蘆洲神將帶你玩』(中国語):http://luzhou.com.tw/index.php

 

(2016年7月 取材)

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