こんにちは、西内恵介です。何のジャンルにせよ「パロディ」というものを成立させるのは非常に難しいものです。パフォーマーの力量不足では、対象者(物)を小バカにするだけで、下世話な笑いしか生みませんし、アーティスティックな面や、批評精神ばかり強調しても当然笑えません。その微妙なさじ加減!二十世紀のロックの巨人を、真っ向から茶化した、史上最高のパロディバンドを。

 

『アーキオロジー』
ザ・ラトルズ

ARCHAEOLOGY  』
THE RUTLES 1996年

メンバー
ニール・イネス(Vocals Guitar Keyboards)
リッキー・ファター(Vocals Guitar Drums)
ジョン・ハルシー(Vocals Drums)
[プロデュース] ニール・イネス スティーブ・ジェイムス

 

収録曲

1 メイジャー・ハッピーズ・アップ・アンド・カミング・ワンス・アポン・ア・グッド・タイム・バンド(MAJOR HAPPY’S UP AND COMING ONCE UPON GOOD TIME BAND)

2 ランデヴー(RENDEZVOUS)

3 クエスチョネア(QUESTIONNAIRE)

4 ラトルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(WE’VE ARRIVED)

5 ロンリー・フォビア(LONELY-PHOBIA)

6 アンフィニッシュト・ワーズ(UNFINISHED WORDS)

7 ヘイ・ミスター!(HEY MISTER!)

8 イージー・リスニング(EASY LISTENING)

9 ナウ・シーズ・レフト・ユー(NOW SHE’S LEFT YOU)

10ザ・ニッカー・エラスティック・キング(THE KNICKER ELASTIC KING)

11アイ・ラブ・ユー(I LOVE YOU)

12中産階級音楽(EINE KLEINE MIDDLE KLASSE MUSIK)

13ジョー・パブリック(JOE PUBLIC)

14シャングリラ(SHANGRI-LA)

15ドント・ノウ・ホワイ(DON’T KNOW WHY)

16バック・イン・’64(BACK IN ’64)

 

THE RUTLES 画像元: https://nyti.ms/2PWSowF

 

妻「???」

俺「大地震のあとだからさ、ふざけちゃダメだろ?」

妻「そうだけど、そんな時でも笑いは必要だよ?」

俺「そうかなぁ?」

妻「そうだよ!ほら!いつもの調子でやろ?」

俺「でもなぁ.....」

妻「じゃあ!セレクトを笑えるものにすれば?」

俺「コミックバンド?」

妻「そうそう!クレイジーキャッツとかさ」

俺「クレイジー最高だけどね....タシナム向きじゃぁ....あ!1個あった!」

妻「なになに?」

 

THE RUTLES 画像元: http://bit.ly/2O0CML7

 

ビートルズの楽曲を忠実に再現する、いわゆる「コピーバンド」というのは、世界中にどのくらいの数が存在するのか?プロに限定してもかなりの数になるでしょうし、アマチュアバンドまで入れると、まさに星の数ほどになると思います。

いまだに、その「なりきり度合い」を競う、コピーバンドコンテスト的なものも、世界中で開催されていますし、ほとんどのイベントが、びっくりする集客数を誇るものばかりです。

ようは、一般のロックバンド以外に、「ビートルズバンド」というジャンルがあると考えた方が、すっきりする状況なんです。二十一世紀の今でも。

次に、「ビートルズっぽい楽曲」を考えてみるとどうでしょうか?

これは二つに分けられます。一つは、「故意的にビートルズっぽさを施す」場合、これはプロもしくは、それに相当する制作者の楽曲に多く、パクリというよりリスペクト(笑)

二つ目は、「ビートルズが作ったポップソングのフォーマットから抜けられないだけ」の場合。まぁ、本人が好きなんだから、どうこう言うこともないでしょう。

さて、「ラトルズ」です。世界一有名な「ビートルズのパロディバンド」です。昔はラットルズって表記されていました。

世界のビートルマニア達のツボにハマったのは、「故意的にビートルズっぽさを施す」というレベ
ルを超えた、非常に巧妙な、ビートルズがいかにも作りそうな「新曲」達です。

世界一有名と言っても、そりゃ現代では、ご存じ無い方も多いと思いますので、ザックリどんなバンドなのか解説から。

元々は、イギリスの6人組コメディグループ、モンティパイソンメンバーのテレビ番組内で放映された、ビートルズをおちょくった、パロディバンドでした。

ついでにモンティパイソンについても。ドリフターズみたいなもんです(こう書くと怒る人いるのよね)。「8時だよ全員集合」じゃなく「ドリフの大爆笑」の。

ただし、後に映画監督として名声を勝ち取るテリー・ギリアム以外、全員がオックスフォードかケンブリッジ卒で、医師免許有り、弁護士資格有りなどという、鼻持ちならないキャリア(笑)のメンバーが、コントを繰り広げるわけです。ご想像いただけますよね?

THE RUTLES 画像元: http://bit.ly/2PWUlZV

 

単にコメディ番組のいちキャラだった「ラトルズ」に火が点いたのが、1978年に全米全英で放映された、本家ビートルズの歴史を徹底的になぞって、ラトルズの歴史を振り返るとした、壮大なフェイクドキュメンタリー『オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ(金こそはすべて)』です。

ビートルマニアであればあるほど、爆笑必至であろうクオリティ!逆をかえせば、ビートルズに興味が無い視聴者のことは、一ミリも考えていない清々しさ!

この番組、脇を固める出演者の無駄に(笑)豪華なこと!ミック・ジャガーにロン・ウッド、しまいには、本家ジョージ・ハリソンまで!

そして、忠実に(かつ誇張して)再現された演奏シーンの、オリジナルと置き換えられた、ラトルズ作の楽曲群のクオリティの高さには、誰もが驚きました。

『アウチ!(ヘルプ!)』や『ゲット・アップ・アンド・ゴー(ゲット・バック)』などの「替え歌」的なものも陳腐には感じさせず、例えば、キャバーンクラブでの『サム・アザー・ガイ』の演奏シーンに充てられた『グース・ステップ・ママ』なんて、トップ10ヒットになってもおかしくない(言い過ぎか?)イカした「オリジナル」ロックンロールナンバーです。

このテレビ特番のサウンドトラックアルバムは、「ビートルズのアウトテイク集」だと言って聴かせられたら、納得するクオリティだと話題になりました。

実際、収録曲『チーズ・アンド・オニオンズ』が、ビートルズの海賊版に収録されてしまい、本当にジョンの未発表曲じゃないか?と噂されたりもしました。

未見、未聴の方は、ぜひこちらからおすすめ致します。

THE RUTLES 画像元: http://bit.ly/2PWUlZV

 

やっと本題(笑)

今回ご紹介させていただくのは、メンバーの逝去などにより、解散状態だったラトルズが、1996年に突如再結成!18年振りの「新譜」としてリリースされた『アーキオロジー(考古学)』です。

うん?アーキオロジー?そう、この前年にリリースされた、ビートルズのアウトテイク集『アンソロジー』のパロディーです。

ビートルズがアウトテイク集を出し、元々、ビートルズのアウトテイクみたいだと言われたラトルズが、ラトルズのアウトテイク集を出す(笑)

もちろん、実際は新曲なんですが、サージェント・ペパーを彷彿させる1曲目から、往年のラトルズ節全開です。メイジャー・ハッピー、つまりハッピー少佐のバンドって何よ(笑)

ジョン役で、バンドの中心人物、ニール・イネスは健在ですが、モンティパイソンメンバーで、前作でポール役だった、エリック・アイドルは不参加!

最初、このアルバムを聴いた時は、ちょっと「やり過ぎ」に聞こえました。録音の音の良さと演奏のクオリティの高さが、そう聴かせちゃうんですね。なので、前作よりは笑えない!

それが致命的とも言えるのですが、ラトルズ=ニール・イネスの新譜として、ビートル曲の取り込み方の絶妙加減に感心しつつ、上手いなぁ、でもバカだなぁって聴くのが正しいあり方だと思います。

だって、ラトルズだもん。

 

                                                              ケイズ管理株式会社 西内恵介

 

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