音楽紹介 [35] 『キッスファースト 地獄からの使者』


 こんにちは、西内恵介です。4月です。春です。新入生、新社会人、新たな人生をスタートされる方も多いのではないでしょうか?そこで、巨大なエンターテイメントとして、世界で大成功を収めたロックバンドのデビューアルバムを。イロモノではあるんだけどホンモノなんです。

 

キッスファースト 地獄からの使者
キッス

 KISS  』 KISS 1974年


メンバー
ジーン・シモンズ(Bass Vo)
ポール・スタンレー(Guitar Vo)
エース・フレーリー(Guitar)
ピーター・クリス(Drums Vo)

 

収録曲

1 ストラッター(STRUTTER)

 2 ナッシング・トゥ・ルーズ(NOTHIN’ TO LOSE)

 3 ファイヤーハウス(FIREHOUSE)

 4 コールド・ジン(COLD GIN)

 5 レット・ミー・ノウ(LET ME KNOW )

 6 キッシン・タイム(KISSIN’ TIME)

 7 ジュース(DEUCE)

 8 キッスのテーマ(LOVE THEME FROM KISS)

 9 10万年の彼方(100,000 YEARS)

 10 ブラック・ダイヤモンド(BLACK DIAMOND)

 

KISS 画像元: http://bit.ly/2G1YPdg

 

俺「ダンナの不倫相手が、キョンキョンってのはどうなの?」

妻「???どういう意味?」

俺「よく知らんグラビアタレントとかじゃなくてさ、ウチのダンナ凄っ!って思わん?」

妻「ああー、なるほどなるほど」

俺「???」

妻「まずね、一般会社員ダンナがキョンキョンと不倫できる確率は?」

俺「ゼロパーセント以下」

妻「でしょ?だったら「凄っ!」だけど、同業者じゃなー、相手誰でも変わらんな」

俺「ふーん」

妻「つまり、妻からすれば、こんなもん社内不倫以上でも以下でもない!わかったか!」

俺「ははぁーっm(_ _)m」

KISS 画像元: http://ur0.biz/JaXQ

 

 キッスです。ロック聴かない人でもご存知ですよね。ロック聴いてる人でもイロモノとして敬遠されているかもしれません。特に若い世代の方が、70年代のロック黄金期のバンドを物色するとして、レッド・ツェッペリンを選んでも、キッスは選ばないですよね。

 もったいない!

 人を見た目で判断してはいけません!

 まぁ、でもたいして期待してもいけません(笑)いきなり弱気ですが、そりゃイロモノですも。間違いなく。ただ、イロモノバンドもここまで緻密な計算がされて「運営」されると巨大な成功を手にするという、圧倒的なお手本です。

KISS 画像元: http://ur0.biz/JaXR

 

 ① 巨大エンターテイメントバンドとしてのキッス

 今でこそ、「バンドの世界観」を前面に打ち出し、そこに沿ったコンセプトで、楽曲から衣装、ステージデザインが行われるなんてのは、BABYMETALの例を持ち出すまでもなく、日本人アーティストでも普通の事になっております。その先駆者がキッスです。

 キッス登場以前も、「アイドル」「不良」「サーファー」など、バンドコンセプトはあったにせよ、せいぜい、それに沿った衣装と髪型止まりでした。

 先駆者たるキッスはレベルが違います。まず、あのメイク!こんなキャラクター設定があるんです(カッコ内は当人の経歴他)

ジーン・シモンズ 
地獄の悪魔(キッス結成以前は公立校の教師。4カ国語に堪能)

ポール・スタンレー 
スターチャイルド 星の目からは光線が発射される(アートスクール出身)

エース・フレーリー 
ジェンダル星の宇宙人 別名スペースエース(オーディションで加入)

ピーター・クリス 
猫怪人(メンバー募集に応募)

 おおーっ!(笑)マーヴェルです。アメコミのロックバンドバージョン!だから、ジーン・シモンズは火を吹き、血を吐くんです。

 そう、キッスはニューヨークのバンド!アメリカ国内で人気に火が点いたのは、デトロイトであることは有名な話しでしょうが、結成されたのはお洒落で洗練、時代の最先端の大都会でした。

 オリジナルメンバーも、ユダヤ人でイスラエルからの移民であるジーン・シモンズを除き、生粋のニューヨークっ子が揃っています。

 ほら?何だか見た目と違って、インテリとか、「計算」(笑)なんて単語が浮かびませんか?

 もちろん、メンバーだけの才覚ではないでしょうが、ここまでの巨大エンターテイメントとして、ロックバンドを成立させるには、その核が確かなものであることは絶対条件です。

KISS 画像元: http://ur0.biz/JaXT

 

 ② 正当ロックンロールバンドとしてのキッス

 このデビューアルバムのジャケットですが、アメリカキャピトルでのビートルズデビューアルバム「ミート・ザ・ビートルズ」のパロディです。

 サイドギタリスト(死語だな)とベーシストがリードヴォーカルをとり、リードギタリスト(苦笑)とドラマーが稀に歌うというスタイルも、ビートルズまんまです。

 デビューにこぎつけたのも、楽曲のキャッチーなメロディと相まって、レコード会社の担当が「アメリカ版ビートルズに育てられる」と、大きな勘違い(笑)をしたためでした。

 なぜ勘違いしたのか?

 一度聴いたら次は歌えるメロディ。個性的なリードヴォーカルを全員が担え、コーラスでのバックアップもきれいにハモる。ギターの一発で覚えられるリフにソロ。聴く者を急かさないミドルテンポの心地よいグルーブ。

 とにかく聴く者にやさしい(笑)

 時代で10年違いますが、そんな「骨組み」は初期ビートルズの楽曲と同じじゃないですか。

 それでいて、オリジナリティってことでは、確固たるものがあり、そのうえで、実はこういうシンプルなメロディって、書けそうで書けない。

 また、特に初期のキッスでは、ジーン・シモンズ、ポール・スタンレーという主要作曲者以上に、ギタリスト、エース・フレーリーの繰り出すリフと、的を射たソロのフレーズが、曲のイメージを印象づけています。

 まぁピーター・クリスのドラムに関しては、そりゃね(笑)でも、ヴォーカリストとしては、このバンドで一番でしょ?

 さて、メイクしているのに、「若っ!」とわかるジャケ写の本デビューアルバムは、このおよそ2年後に、「地獄の軍団(Destroyer)」のミリオンヒットで大ブレイクを果たしてからと比べると、確かに、ディストーションギターは鳴っているけど、何だかスカスカだな?と感じられるかもしれません。

 そうビジュアルに反して「地味」じゃね?って思っちゃう。

 しかし、今現在もライブで演奏される主要な楽曲がいくつも入っているように、楽曲そのもののスタイルは、このデビューアルバムですでに完成されていました。

 そして、そのスタイルは、後々サウンドプロダクションが重厚になっても、バンドそのものが巨大エンターテイメント化しても変わりませんでした。

 どうも、世間というか、特に日本人って、わかりやすいことをバカにする風潮ありません?他人にわかりやすく伝えるって、非常に高等な技術を要するものです。音楽だって同じなんです。

 

                                                              ケイズ管理(株)西内恵介

 

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