こんにちは、西内恵介です。今回ご紹介するのは、ロックアルバムじゃありません。
 しかし、ロックンロールを想起させる熱量を持った、熱いビッグバンドジャズのアルバムです。

 

 ソウル・ボサノヴァ

クインシー・ジョーンズ・アンド・ヒズ・オーケストラ

 『BIG BAND BOSSA NOVA

QUINCY JONES AND HIS ORCHESTRA  

1962年

 

収録曲

 1 ソウル・ボサノヴァ(SOUL BOSSA NOVA)

 2 ブギー・ボサノヴァ(BOOGIE BOSSA NOVA)

 3 デサフィナード(DESAFINADO)

 4 カーニヴァルの朝(CARNIVAL)

 5 フォー・ギブ・ミー・イフ・アイム・レイト(SE E TARDE ME PERDOA)

 6 オン・ザ・ストリート・ウェア・ユー・リヴ(ON THE STREET WHERE YOU LIVE)

 7 ワン・ノート・サンバ(SAMBA DE UMA NOTA SO)

 8 ラロ・ボサノヴァ(LALO BOSSA NOVA)

 9 セレナータ(SERENATA)

10 ノー・モア・ブルース(CHEGA DE SAUDADE)

 

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Quincy Jones  画像元: http://goo.gl/PGVe8k

 

 俺「ただいま!....うん?何で照明点けてな....」

 妻「うらめしやぁぁぁ!!!」

 俺「うわぁぁぁぁ!!!」

 妻「きゃーきゃー! ひっかかった! やったぁ!」

 俺「ビビったぁ....何? そのリアル過ぎるお岩さんメイク」

 妻「すごいしょ! 3時間かかった! 3時間!」

 俺「(内心、3時間かけて何やってんだよと思うが)す、すごい! すごいねぇ」

 妻「夏は、やっぱりこれでしょ」

 俺「あれ? そういやエアコン切ってるの?」

 妻「節電節電! ほら、今、涼しくなったでしょ?」

 俺「まぁ、一瞬」

 妻「.....一瞬?」

 俺「い、いや、涼しいです。あー涼しくなった」

 妻「でしょ? 明日も期待しててね!!」

 俺「え? 毎日やるの? このパターン」

 妻「節電節電!」

 俺「.....」

 

 

 さて、『夏』といえば! というミュージシャン、誰を思い浮かべますか?『TUBE』? 『サザンオールスターズ』? それとも『加山雄三』? 海外勢なら『ビーチボーイズ』? 『ベンチャーズ』? ジャンルだと、やっぱり『レゲエ』でしょうか?

 『ボサノヴァ』ってのも、夏向きのジャンルですよね。ゆったりしたリズムのガットギターと、脱力したヴォーカルが、清涼剤的に耳に心地良いんです。

 

  本作もボサノヴァではあるんですが、力入りまくった、暑い夏をさらに暑くする一枚です。

 

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QUINCY JONES  画像元: https://goo.gl/JXm8dV


 クインシー・ジョーンズ。名前はお聞きになったことありますよね。マイケル・ジャクソン『スリラー』『バッド』のプロデューサー。『ウィー・アー・ザ・ワールド』もこの人です。『愛のコリーダ』って、何だか微妙なディスコソングもありました。

 

 しかし、アラフィフ世代ならば、もっと昔にこの人の曲、絶対に聴いているんです。テレビ番組でゴシップワイドショーのハシリ『ウィークエンダー』って覚えていますか? 泉ピンコ何かしゃべりまくってた。あれの「チャッ・チャラッチャ・チャッチャー!!新聞によりますと....」ってやつ。そう、クインシー・ジョーンズの曲です。

  もう少し上世代の方は、あの曲が、車椅子の警部が活躍する、アメリカの刑事ドラマ、『鬼警部アイアンサイド』のテーマソングだってご存知でしょうけど。吹き替え若山弦蔵でした(関係無いか)。

 

 マイケル以降は、すっかりポップス系大物プロデューサーのイメージですが、元々はビッグバンドジャズや映画音楽、テレビドラマ音楽の作曲家、アレンジャーとして成功を収めていた人物です。

 


クインシー・ジョーンズ自叙伝
(河出書房新社 2002年)』という、本人書き下ろしの、僕の知る限り、この手のタレント本の中では、最高に読み応えのある一冊があります。

  300ページ超える本書ですが、書かれていることは、以下の『3カテゴリー』に分類できます。

 

 1)俺はこれまで、こんなビッグな連中と仕事してきたぜ

   ※ 解説:ハイスクール時代にバンドを組んでいた相手がレイ・チャールズ。プロとして、ライオネル・ハンプトンのバンドでトランペットを吹き始めた以降は、カウント・ベイシー、デューク・エリントン、マイルス・デイビス、フランク・シナトラ、アレサ・フランクリンなどなど。マイケルの名前がかすむくらいの面々と、結果を残してきました。

 

 2)俺はこれまで、こんなイイ女達と××してきたぜ

 ※ 解説:数々の女優、モデルと手当り次第。公式には実子7人。何せ別れた『4人目』の奥さん、あのナスターシャ・キンスキーですもの。恐れ入ります。ちなみに『3人目』の奥さんは、デビッド・リンチの『ツイン・ピークス』で、服役中の暴力夫にビクつきながら、元同級生と不倫中の、カフェ店員ノーマを演じていた、あの女優さんだそうです。

  ここまでだと「実に鼻持ちならないヤツ」で終わりそうですけど、最後で印象が変わります。

 

  3)俺と家族、仲間達は、黒人ってことで、ここまで虐げられてきたぜ

  1933年アメリカ・シカゴ生まれのクインシー。1930~50年代のアメリカにおいて、大部分の黒人少年は、生き抜くためにギャング団に属し、万引き、窃盗、縄張り争いの喧嘩を、繰り返す毎日を送っていました。それは、クインシー少年も同様でした。

  11歳の時、今で言う、おそらく市民カルチャーセンターのような建物の食堂に、食料を盗むため仲間と侵入します。そして、建物内の一室でアップライトピアノを目にします。

  元々、母親(この頃は精神を患い、隔離されている)が教会オルガニストで、幼少のころは、女友達宅のピアノに慣れ親しんでいたクインシーは、そのピアノを弾いて『音楽愛』を取り戻し、ピアノを弾くためだけに、建物に侵入するようになります。

 

  クインシーの侵入を見て見ぬふりをして、部屋の鍵をわざと開けておく係員。クインシーの才能を見抜き、自分の蔵書、楽譜を自由に閲覧させ、楽典の基礎を学ばせた中学の音楽教師。生活が苦しい中でも、クインシーが欲しがった、当時高価だった教則本などを工面した父親。

  周囲の人々のサポートを得ながら、奨学金でバークリー音楽院を卒業、18歳でプロのジャズメンとして、ビッグバンドに加入し、ツアーを回る日々を送りました。

 

 しかし、当時から人気もあった、ライオネル・ハンプトン、カウント・ベイシーらのバンドでさえ、ツアー先のレストランが『黒人お断り』の店しか無く、黒人の民家で食料を分けてもらったり、『黒人お断り』のバスしか無い街では、隣街まで楽器をかかえて歩いたり、黒人だからとホテルに宿泊を断られ、民家に分散して泊めてもらったりなど、常に我慢を強いられる生活だったそうです。

  数年間の過酷なツアー生活の後、クインシーは、アレンジの仕事とオーケストレーションの勉学を兼ねて、フランスへ渡るチャンスを得ます。フランスでは、肌の色で差別されること無く、実力を発揮すれば認められました。

 

 「やはり、黒人と白人の間に壁など無いはずだ」クインシーは自信を深め、数年後に、ニューヨークへ戻り、自身のビッグバンドを結成します。

 

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Quincy Jones With Michael Jackson and Steven Spielberg 画像元: http://goo.gl/emGvh

 

  今回ご紹介させていただくのは、そんな時代のクインシーが残した一枚です。

  まずジャケットに注目してください。タイトル上の一文です。

 

  『THE NEWEST LATIN AMERICAN RHYTHM』(最新のラテンアメリカ(南米)のリズム)

 

 そう、このアルバムがリリースされた1962年において、ボサノヴァは、『最新』のスタイルでした。そもそもは、ブラジル音楽のサンバ(激しいリズムのダンス音楽)を、『クールな音楽』にしようと、1950年代後半に、主に若手のブラジリアンミュージシャン達が、演奏し出したのが始まりと言われています。Bossaは、『潮流』、Novaは、『新しい』という意味なんですね。

 

 注目は、オープニングを飾る、クインシー書き下ろしの一曲。『ソウル・ボサノヴァ』です。作曲家・アレンジャーとしての実力を、まざまざと見せつけるキラーチューン!

 もちろんリズムはボサノヴァ。曲はイントロから主旋律、バース、サビ、全てシンプルで一発で覚えられ、耳に残ります。こんなに単純なのに、もの凄く心躍る!まさにアレンジの妙です。

 

 最近では、キリン発泡酒のCMソングに使われていましたので、耳にされたことあると思います。調べてみますと、過去にはアサヒの発泡酒のCMでも使われていたようで、やっぱり夏の暑さをイメージさせるんですかね? そうそう、おバカ映画『オースティンパワーズ』のテーマソングでも使われていました。

 

 最後に、クインシーが、事あるたびに口にしているので、おそらく非常に大切にしているのだろう、フランス時代の恩師の言葉。書いておきます。

 

 「神は私たちに12個の音をくれた。ベートーベン、チャーリー・パーカー、バッハ、カウント・ベイシー、誰であろうと12個の音しか使っていない。神が13個目をくれるまで、君は君にできることを、やればいいんだよ」

 

 気負うな。自信を持て。そういうことでしょう。先生いかしてます。
 

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Quincy Jones 画像元: http://goo.gl/tCv16q

 

俺「ただいまー....うわ、マジで今日も照明点いてない....

 (あれ?....階段の影に隠れてるの見えてるわ....気付かないふりすっか....)」

  (突然背後から)

 妻「ただいまー!」

 俺「うわっ!!」

 妻「ゴメンゴメン遅くなった。何そんなビビってるの?」

 俺「だ、だって、あそこに居る、ってか、女の人....あれ? いない?」

 妻「私を、脅そうとしても無駄よ」

 俺「いや! ホントだって、階段とこに....」

 妻「.....」

 俺「.....」

 

チャッ・チャラッチャ・チャッチャー!

 

ケイズ管理(株)西内恵介

 

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