こんにちはサックスの門田”JAW”晃介です。

遅ればせながら新年おめでとうございます。

毎年恒例となったJAW meets PIANOMAN のXmasライブツアーも無事盛況のうちに終わり早くも次の企画に向け色々と会議を始めている年初め、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

札幌公演ではこのサイトでお世話になっている方々にもお会い出来るということで毎回とても楽しみで、そしてちょっとだけ緊張感も高いです。(皆さん音楽に精通していらっしゃる方ばかりなので!)

さて振り返ってみると2018年は音楽的にとても実りの多い年でした。

3年くらい前だったか、丁度JmPでの活動を始めた頃、これからはもっとこういう表現をしたい!と切に思ったことがようやく具体的に形になり始めたというか、、

同時にもっともっと磨きたいところが沢山見つかって、、それらを追求できる幸せを忘れず今年も色々と挑戦していきたいと思っていますので、作品リリースもライブも楽しみにしていてください!

さて今回の音楽紹介は、まさにそんな自分の表現の方向性を変えたいと思い始めた3年ほど前によく聴いていたアルバムの一つをご紹介したいと思います。

 

 

The Red Door – Remember Zoot Sims
Bucky Pizzarelli & Scott Hamilton

 

 

 

 

昔からデュオという表現形態にはなぜか惹かれるものがありました。

限られた音の中でいかに豊かな音表現ができるかというのは、プレイヤーとしての一つの挑戦でもあります。

YoYoとのでデュオ企画がスタートした当時も、自分にとってはそんなプレイヤーとしてそれまでの形とは違った一つの挑戦という意識もありました。

ギターとサックスのデュオアルバムと言えばジョー・パスとズート・シムズの2人による” Blues For Two ”や、もっと遡ればこのアルバムのバッキー・ピザレリとズート・シムズのデュオアルバム” Zoot Sims With Bucky Pizzarelli ”などが有名どころです。
タイトルに” REMEMBER ZOOT SIMS ”とあることからもこれらズート・シムズへのオマージュ的作品であることは読んで取れるこの作品、その本家ズート・シムズの作品群に勝るとも劣らない名演となっているのが今回紹介するこの” The Red Door ”です。

ギタリストのバッキーピザレリは人気ジャズヴォーカル&ギタリストであるジョンピザレリのお父さん。

親子揃ってジャズギターの名手ですね。

Bucky Pizzarelli 画像元: https://n.pr/2Sa0pD0

 

Scott Hamilton 画像元: https://bit.ly/2DvxYHM

 

そしてスコットハミルトン、実は日本在住のサックス奏者との話を最近耳にしたのですが、ぼくの中で理想的な倍音のふくよかさを持った素晴らしいトーンのサックスアイドルのお一人です。

デュオというのは人の数が少ない分、一音の重みというか、ひとつひとつの音の担う役割の重要度が大きいように感じるのですが、スコット・ハミルトンの演奏はそう言った部分で全く無駄がなく、必要な音が必要なところにしっかりとハマっているという印象。

一聴するとなんの変哲も無いフレージングに聴こえますが、いざ同じことをやってみようとすると、このように素晴らしいイントネーションで迷いなく吹き切る事がいかに難しく高い技術を要することかを思い知らされます。

技術の高さって昔は早く指が動くとか、高い音が出るとか、そういう事ばかりに目が行っていたけど、心地よい音程とリズムで何気なくさらっと心地よいニュアンスのフレーズを吹くことが、実はとても高い技術力を要する事をやっと最近になって噛み締めている次第です。

とまぁまたマニアサックス談義に傾いたところで、、、

アルバムの解説に移りましょう!!

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~収録楽曲~

1 It Had to Be You

2 Gee Baby, Ain’t I Good to You

3 Red Door

4 Dream of You

5 The Jitterbug Waltz

6 Two Funky People

7 Just You, Just Me

8 In the Middle of a Kiss

9 Morning Fun

10 It’s Alright With Me

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Bucky Pizzarelli 画像元: https://bit.ly/2WhomaJ

 

ズート・シムズに所縁のある曲を中心に構成されたスタンダード集です。
1曲目の” It Had to Be You ”はフランク・シナトラを始め、ボーカリストに好まれるミデアムナンバーを軽快なアレンジで。
続く2曲目の” Gee Baby, Ain’t I Good to You ”はブルージーなスローナンバー。僕も大好きな曲でたまにセッションでやったりするのですが、、この曲の邦題がまた痺れるタイトルで、、、

『恋人よ、何か不満かい?』

いいですね〜この邦題のちょいズレな感じ。
映画などの場合の邦題はなんとなく日本で上映するにあたって色々関係各所が知恵を絞り、名タイトルから珍タイトルまで幅広く考案される様子が想像できるのですが、、
こういったジャズのスタンダードの場合はどうなんでしょうね??

、、と、話しが逸れましたが、、
アルバム曲に話を戻しまして3曲目のアルバムタイトル曲” Red door ”はバリトンサックスの名手ジェリー・マリガンと前述のズート・シムズの共作となっているオーセンティックなスイングジャズのナンバー。

ズート・シムズの作品としても、ジェリー・マリガンの作品としてもそれぞれが録音を残している様です。

4曲目の” Dream of You ”もまたボーカルアレンジのイメージが強い曲。
歌物をうまく演奏するセンスも、スコット・ハミルトンの一つの魅力だと思います。

5曲目の” The Jitterbug Waltz ”はとても印象的なリフが続く可愛らしいワルツ。原曲はファッツ・ウォーラー作曲の古典です。

6曲目” Two Funky People ”はここ最近自分の新しい挑戦として同じテナーサックスプレイヤーの石川周之介氏と始めたサックス2本のみのちょっと変ったユニット” Tenor Talk ”のお気に入りナンバーとしても毎回演奏している曲です。

もともとはアル・コーンとズート・シムズというテナー2人の旋律がシンプルなハーモニーかつちょっとひねりの効いたリズムに乗って演奏される曲ですが、ここではテナーの単旋律にギターの伴奏をつけた後、おそらくオーバーダビングでギターの副旋律を付け足す方法で演奏しています。

ちなみに” Tenor Talk ”で演奏するときにはループマシンにコードの流れをロングトーンで1コーラス吹き込んだ後に二人でハーモナイズされたメロディーを乗っけるという手法で演奏します。

メロディーもソロをとる時も、リズムの乗り方とかハーモニーの作り方とか、サックス吹きには本当に面白い素材で、、、

あ、すみません、、またマニアな方に行ってしまった、、、笑。

7曲目” Just You, Just Me ”はテナーのソロのリフでリズミックに始まるアレンジで、8曲目の” In the Middle of a Kiss ”はギターのミデアムテンポのリフで始まり、どちらもスタンダードの美しい旋律を朗々と歌い上げています。

9曲目の” Morning Fun ”はズート・シムズのオリジナルブルース。4小節のフレーズを1コーラスに3回繰り返す典型的なブルースナンバー。ズート・シムズのライブ版などでは、最初の4小節吹いたらそのままソロに突入して終わりみたいなテイクもありますね。

最後の10曲目はコール・ポーター作曲の有名曲、” It’s Alright With Me ”を高速で駆け抜けてフィナーレ、という全10曲。

 

Scott Hamilton 画像元: https://bit.ly/2Mwpt1M

 

今回改めて聴き直して、全曲を通して2人のリズムとハーモニーの安定感のハンパなさ、音色はイントネーションの素晴らしさを再確認しました。
特にバッキー・ピザレリはテナーの伴奏パートから自分のソロパートに切り替わったところでの音圧感をしっかりと押し出していて、一人になっても2人の時との差が激しくならないようしっかりと音楽の厚みを調整しているように感じられ、それが4小節単位のソロ・トレードのシーンなどでもキッチリやり切るあたりの職人芸にも改めて舌を巻きました。

さて、ここのところデュオアルバムの紹介が続いていますが、もう一枚くらい何か紹介したいなぁ、、と。

ここの記事を書きながらライブの選曲を思い付いたりもしますので、その辺と合わせてまた次回に向けて聴き漁ろうと思います。

それでは今年も各地で皆さんにお会い出来るよう色々企画していきたいと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します!

 

                                                              2019年1月 門田”JAW”晃介

 

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