必聴! 台湾ミュージックシーン
― ここから遊びについて聞かせてください。お休みは決まっていらっしゃいますか?
伊禮「イベントがない日は土日がおやすみです」
― お休みの日はどうして過ごしていらっしゃいますか?
伊禮「神様(奥様)の指示待ち(笑)。子供と遊んでます。何も無いときは寝ます」
― 伊禮さんご自身は、楽器は演奏されないんですか?このお部屋に三味線が掛かっていますが?
伊禮「遊びでいじったことはあるけど、バンドでの担当はチケット売りが専門(笑) 毎回1人で150枚くらい売る」
― それはすごい!ライブハウスの規模で1人150枚手売りする人はそう居ませんよ!アンダーグラウンドのバンドマンにしてみたら、神様みたいにありがたい人ですね!
伊禮「でも、だんだん売れなくなるじゃない? そうなってくると、バンドを解散する(笑)。名前変えて、新しいバンドとしてデビューする。そうするとみんな観に来るでしょ。でも、演ってる曲は同じなの(笑)」
― ひどいですね!
伊禮「バンドメンバーも前と同じなんだけど、バンド名がどんどん変る。メンバー全員で短パンはいて『それゆけ!タンパンマン』っていうバンド名にしたり、その次は、『スゥイートハニー』、『ピンクスキャンティ』、『台風28号』。最後から2番目くらいのバンドになったら、ギタリストが『もうこんな恥ずかしい思いをするのはイヤだ!』といってギターを捨てました(笑)」
― 今、おすすめのアーティストを教えてください。
伊禮「『Staycool(ステイクール)』だね。僕がエージェントを担当しているバンドなんですが、北海道のラジオ局、ノースウェーブでも応援してくれて、ウィークリーチャートで1位になりました。台湾のバンドです。ジャンルはフォルモサ・ポップス(※Formosa:台湾の異称。ポルトガル語で「麗しい(島)」の意)。是非、聞いてみてください。それから、台湾原住民のアーティスト『Suming(スミン)』。彼は、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』で日本人アーティストと一緒に主題歌を歌っています」
― あのヒット作の主題歌ですか!サウンドトラックCDで聞くことができますか?
伊禮「エンディングテーマで台湾と日本のアーティストが一緒に歌っているんです。聞いてみてください」
何がしたくて,何ができるのか。~趣味と仕事を自在に切り替えるポイント
― 具体的には、伊禮さんは音楽アーティストのエージェントやプロモーションの仕事と、音楽イベントの企画、制作、運営に関わっていらっしゃるのですね。
伊禮「そう。エージェントとしての仕事は、条件交渉と契約。イベントの企画は、自分達がやりたいことを自分達のできる範囲でやっています。それ以外に、外注のイベント制作では、全体を見通して、足りない部分はお手伝いさせてもらうので、建築でいうところの施工管理技師みたいなものだよね。それぞれ関わるスタンスがちょっとずつ違う」
― 音楽というものをお仕事にされるというのは、ご趣味との線引きが難しいように思われるのですが?
伊禮「僕らの会社はすごく小さいので、自分の納得いくコンテンツであれば関わるようにしています。音楽だけでなく、その人と知り合って、その人の音楽に興味持つといった事の方が多いかもしれません。いろんな仕事があるでしょ? あくまで仕事と割り切って関わる場合もありますが、遊びの部分も多分にあります。だから遊びの場合は、純粋にやりたい事をやって、自分でお金を払います(笑)」
― そういう部分の切り替えはお得意ですか?
伊禮「自分の中にスイッチがあって、上手く切り替えしています。お仕事を始める前に必ず、スタンスと条件を決めてからじゃないとスタートしません。自分達は何をしたくて、何が出来るから、ここにいます。ということを相手に伝えられれば、相手が外国人だとしてもしっかり球を投げてくれます」
― 台湾の方は日本人に対して本当に親切にしてくださいますね。仕事ではなく、個人のご厚意で熱心にお世話をしてくださる。だからこそ、仕事という部分でどういう切り分けが必要なのかな。といつも考えるんですが…。
伊禮「ある事業があって、その事業の枠組みや計画が理解できて、自分の役割がわかっていれば、仕事になりますよね。責任を持ってその一部分を引き受けてお金を貰う。というのは日本も台湾も同じかな」
― 多岐に渡ってプロデュースというお仕事をされていらっしゃって、ストレスを感じられることはありませんか?
伊禮「ないねえ(笑)」
― 上手にストレス発散していらっしゃるんですね。今、楽しいのはどんなことですか?
伊禮「子供と遊ぶこと」
― 外に出かけられることはありますか?
伊禮「ありますよ。友達のお店に飲みに行ったりして」
― お酒はどれくらい召し上がりますか?お見掛けしたところ、果てしなく召し上がれそうですが…。
伊禮「いやいや。それほどでも(笑)」
― 沖縄の方は、お酒飲みますよね。夕方明るいうちから夜中まで。
伊禮「そうだねえ。飲むねえ(笑)」
― ありがとうございます。最後に今後の目標と夢をお教えください。
伊禮「今年、41歳なんだけど、40代はここで葉っぱを広げて、人脈の財産を築くこと。50代には沖縄に戻ってこの人脈を地元と繋げたい」
― それは、音楽のマネージメントや交流に繋げていくということでしょうか。
伊禮「音楽っていうのは、今の自分が一番得意なコミュニケーションツール。音楽以外にも国際会議の運営もしているんです。だから音楽は入口で、音楽をキーワードに人と人とを繋げていく。ということを考えています」
― 素敵ですね。今日は音楽プロデューサーとしてお話を伺いましたので、音楽が主軸になりましたけれど、伊禮さんの会社『你好我好有限公司』のコンセプトがまさに日本と台湾を繋ぐことですよね。是非、取材させてください。
伊禮「いいよ。代表の青木由香にも、話、聞いたらいいよ」
― いいですか! 是非、宜しくお願いいたします!
伊禮「はーい」
伊禮 武志 (いれい たけし)
1973年12月30日 沖縄那覇市出身 A型台北在住。台湾と日本のインディーズ音楽の
サポートをテーマに活動。音楽フェスティバル
制作、およびマネージメント、プロモーション
業務を主に活動する。
2011年10月 你好我好有限公司BlueTreePress
設立。同社の総経理を勤める。