㈱インデックス・コア 代表取締役 麻生 榮一 インタビュー

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競馬と畑仕事 趣味も決め手は『リサーチ』

 

― 遊びについてお伺いします。休日の過ごし方を教えてください。お休みは週に何日とられていますか?

麻生「一応、土日は休みにしてます。休日は畑か競馬。映画観るのは半分仕事だからなあ」

 

― 馬券も買われるんですか?

麻生「買いますよ。畑をはじめる前は全国の競馬場を必ずまわって行ってたんです」

 

― 実際に競技場までいかれるんですか!?

麻生「東京、千葉は出張のついでに。そこ以外にも、新潟とか名古屋とか九州とか、年間6~10箇所は行ってました」

 

― 競馬のレース自体に魅力を感じて、ですか?

麻生「レース自体も好きですね。実際にこの目で馬を見て、データ収集したり分析したりするのも面白い。というのがひとつ。それと、競馬以外になにもしない。ということ。まず、現地についたら、競馬新聞ひとつで予想からはじめますよね。それで時間が余ったら、ご飯を食べに行く。それも行き当たりばったりで入るんです。おいしいお店に当たったら、万馬券並みに嬉しいよね(笑)」

 

― その日のレース以外は何も調べないで行くんですね!それは素敵な旅ですね。その全部を含めて、『競馬』がお好きなんですね。

麻生「会社に居ると、やらなきゃならない事がたくさんあるじゃないですか。それを全部置いていく。畑もね、共通するところがあります。まずね、一週間の天気予報から調べる」

 

― ああ!やっぱりリサーチと予想からはじまるんですか!

麻生「雨の日は作業できないからね。雨の翌日が晴れなら、そこで作物が伸びるんです。それを考慮してスケジュールを立てる。それでも畑に行ってみると、やることがたくさんあるんですよね。わからないこともたくさんある。しかも人によって作り方が違う。調べると、本州の作り方と北海道の作り方というのも違う。詳しい人に電話して聞いてみたりしたりね。一応、無農薬でやっているから、土地の活性化に必要な微生物をどうやって増やすか?とか(笑)。そうすると来年の作物のために秋口から畑を準備しなくちゃならないんですよ。冬の雪の下でならしておかないと」

 

― さすがプロデューサーですね。準備と仕込みが重要ですか。

麻生「そういうところが面白いんですよね。明日も行ってきます」

 

― 今は、何を育てていらっしゃるんですか?

麻生「たまねぎ、ねぎ、キャベツ、レタス、インゲン、トマト、きゅうり、なす、みょうが、大根」

 

― たくさん作っていらっしゃいますね!趣味の畑もお仕事の方法論と同じで、徹底していらっしゃいます!

 


『映画』と『CM』の違いとは? 尽きない映画への夢

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― それでは、遊びと仕事の関係について聞かせてください。麻生社長は学生時代からご自身の表現として映画制作に関わる反面、CM制作という映像のお仕事を成功させていらっしゃいます。そのあたりは、どのように切り分けしていらっしゃるのでしょうか?

麻生「切り分けをしてるわけじゃなくて、映画とCMというのは全然違うものなんです。CMというのは『消費される作品』なんです。どんなに良い作品でもその季節、時代に合った時だけ花開くんです。映画っていうのは、今理解されなくても100年後に認められるかもしれない。そういった意味で大きく違うんです。同じ映像とはいっても、道具が一緒なだけで出来上がるものは違うものだと思っています」

 

― 麻生さんにとって『作りたい映画』とはなんですか?

麻生「技術だけに頼らず、発想が良いこと。それに向き合って、丁寧に、信じて作っているかどうかが重要だと思います。CMはそういうわけにはいかないんですよ。下手ウマはありだけど、下手は許されないですから」

 

― 『商品』と『作品』の違いでしょうか。

麻生「僕が付き合っているのは商業映画よりも自主制作、インディーズ映画が多いので、そう感じるのかもしれませんけど。才能ある人がゆっくりと、丁寧に作ることで本当に面白い作品が出来ると思うんです。大手の映画制作会社の話をすると、鉄道やデパート経営が母体にあって、大企業のエンターテイメント部門として、幾つかの劇場を持っている。ただ、映画館はお客さんも入らなくなって劇場の数は年々減っている。老舗の映画会社も自分のところで映画を作る予算がなくて、海外映画の配給を専門にやったりしています。今の映画界は、そんな状況なんですよね」

 

― 難しい状況なのですね。
最後に、麻生社長の夢を教えていただけますか?近々に計画されていることでも結構です。

麻生「えー。今年の畑がちゃんと出来ればいいなあっていうことかな(笑)。1ヘクタールくらいの畑を思い切ってやってみたいな。とかね。仕事に関しては、色々考えて準備をしているんですが、男が仕事をやめる時ってね。難しいんですよ。最初は55歳位でやめようと思ってましたけど、それを過ぎたら、最近は、またやりやすくなってきてね。でも、現場に出ても身体を使わせてくれないんですよ。いいから座っててください!とか言われてさあ(笑)。そういうのが増えてくるとやだね(笑)」

 

― 札幌国際短編映画祭の実行委員は、続けていかれますか?

麻生「今、引継ぎを決めてるんで、今年で最後にしようかな。と思ってます。辞めなきゃダメだな。と思うんですよ。だって札幌の実行委員は年寄りばっかりなんだもん(笑)。世界中を探したってそんな映画祭ないですよ。若い人にやってもらわないと!」

 

― 映画祭もそうですが、映画制作を志す札幌の若手作家の中には、麻生さんのお力を借りたい!という人が多いと思います。映画制作や若手の育成はお続けになりますか?

麻生「実は、言わずにいましたが、映画の財団を作りたいんですよ。財源の提供や制作の協力ができる組織を作りたい。そのためには、組織でお金を生み出せて、継続、維持していける仕組みを考えなくちゃね。なにか軸がなくては」

 

― 北海道には芸術財団や演劇財団がありますが、ああいったところの財源は市や道なんでしょうね。

麻生「できれば、100%民間でやりたいんです。市や道の援助が受けられれば、メリットも多いでしょうけど、行政的な影響を受ける可能性もありますから。誰のために何をやるのか。ということを考えるとね。まあ、色々と考えてみます(笑)」

 

― 札幌で頑張っている若手監督のためにも是非!夢の映画財団設立、実現してください。

麻生「できるといいねえ!」

 

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麻生 榮一 (あそ えいいち)
1950年4月9日 札幌出身 A型 

 ㈱インデックス・コア代表。札幌を
拠点にTV-CMのプロデューサーとして
活躍。最優秀HAC製作者賞・北海道知
事賞をはじめ、全日本AC CCMフェス
ティバル優秀賞など多数の受賞歴を持つ。
 札幌国際短編映画祭実行委員、アジア
短編部門プロデューサーを勤める。
 

  (取材:2015年 7月)

 

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