株式会社スマイルブーム 代表取締役社長 小林貴樹 インタビュー

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 次の世代の『面白い子』作り ~プログラム言語、そして子どもたちとの交流

 

― 今現在の会社、㈱スマイルブームのお仕事の概要を教えて頂けますか?

小林「ゲームの開発と、ツールの開発です」

 

― スマイルブームで開発されたプログラムツールが、大阪の高校学校で教材として採用されているとのこと。ゲームと教育が接点を持つという、非常に面白い試みですね。最初はどういうきっかけだったのですか?

小林「その高校が元々DSを使った教育システムを導入していたので、そのシステムを使ってうちで作ったツールを何か入れられないだろうか?という相談を任天堂さんの方から頂きました。結局、当初のお話はうまく繋がらなかったんですけど、せっかくのご縁なので、うちの会社から機材を用意して、ツールを入れて、提供しました。プログラム教育のツールとして使ってもらっています」

 

― スマイルブームでは、修学旅行生の受け入れもしていらっしゃいますよね

小林「秋田の中学生が会社見学に来るようになって、もう3年目ですかね。こちらで教材を用意して、プログラムを打ってもらいます。女子はすごいですよ。忍耐強くて、真剣に集中して打ちますから。まあ、男子がダメでね。すぐ飽きちゃって(笑)。他にも、ゲームを作るという仕事全体についても説明します。時間が限られているので、この続きは興味があったら自分でやってみて。という感じです」

 

― こういうことをきっかけに、ゲームやプログラムの世界に道が開かれる子供たちもいるでしょうね。

小林「そうなるといいですね」

 

― 学校への教育システム支援や、修学旅行生の受け入れなど、一般の会社で必要性は理解しても、なかなか実行できない試みだと思うのですが、それを実践できるのは、小林代表のご意思が反映されているのでしょうか

小林「うちの会社は、ユーザーからかかってくる電話とかも自分が受けて対応したりするので、それほど外部との提携に抵抗はなかったんですね。先日、横浜の方の事務所へ大手旅行会社さんから連絡があって、海外のお金持ちの息子さんたちから日本のゲーム会社を見学したいというリクエストがあって、何社か当たっているんだけれど、どこも対応してもらえなくて困っているというので、うちで良かったらどうそ。とお返事しました」

 

― 懐の広い会社ですね!

小林「ただ面白いってからっていう理由です。どんなヤツが見学に来るんだろうなあ。あわよくば会社ごと買ってもらおうかなって(笑)」

 

― ゲームというのは遊びでもあり、経験を通じた学習でもありますよね。

小林「そうですね。うちで(ゲームを作る)ツールを作っているのは、次の世代の面白い子たちをどう生み出していくか、ということを考えたからなんです。コンピューターの成長に合わせて成長してきた僕たちが、一番おいしいところ、すごく面白い最先端の部分を全部取っちゃっていたんです。今の若い子たちがいきなりそこに辿りつくのは大変なことで、下の方でぐずぐずしていたりして。それじゃまずいよね。僕たちちょっと楽しみ過ぎたよね。という反省を込めて、古いコンピューターで使われていたBASICというプログラム言語を使ってツールを開発しました。もっと身近にプログラムに接してもらいたい。ということで作ったのが、3DS用のベーシックプログラムで『プチコン3号』といいます」

 

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― この『プチコン3号』ではこのツールを使って作ったゲーム作品を募集して、大喜利イベントが行われていますね。

小林「はい。そこで優秀な作品をパックにして商品にして販売します。製作者に自分が作ったゲームが売られるという場を提供して、ゲームを作る楽しみと、買ってくれたお客さんが遊んでその反応が返ってくるということを体験してもらえるようにしています。結構、小学生とか中学生が応募してくれた作品が販売されることもあるので、そこはご両親の承諾をいただいたり、販売代行的な業務もやっています。海外版も発売になり、海外からも作品応募があるので、英語スタッフを入れて対応しています」

 

― 世界中のプログラムファンに可能性を与えていらっしゃる。素敵な事業ですね!

小林「これ自体は全然儲かっていないんですけど、ユーザーとの交流という意味ではすごく面白いです。あちこちでこれを使った子供向けのワークショップが開かれたり、イベントが開催されたりしています」

  

― 作品応募なさる方は、どれくらいの年齢層が多いのですか?

小林「最初はBASICという古いコンピューターの言語を使ったツールなので、おっさんキラーと呼ばれるほど、おっさんばっかり集まってきましたが、最近は平均年齢が下がってきました。任天堂さんがやっている『Miiverse(ミーバース)』という掲示板のようなものがあって、ゲームごとのコミュニティーが用意されています。プチコンを使ってゲームを作ったら、ここで公開して『できました! 見てください!』とか『ここで止まっちゃうんですけど、どうしてかわかりません。助けてください!』とか、子供たちが書込みするんです。そうすると、どこからともなく誰かが現れて『こうしたらどうでしょう』とアドバイスする。すごく良い流れができています」

 

― おっさんから子供たちに継承されていくわけですね!

小林「この掲示板を使って、1週間くらいでプログラムを組めるようになったりする子もいるんです。自分たちの時代は雑誌の情報が全てだったので、月刊誌の更新スピードでしかプログラムを覚えることができなかったんですけれど、今は分単位でレスポンスが受けられる。これのおかげで小学生とか中学生の利用者が増えてきています」

 

― 今の子供たちが既に高度になったプログラムの世界に飛び込んできて、そのうち追いつき、さらに新しいものを創り出してくれる可能性を感じます。スマイルブームは、そのきっかけ作りをしていらっしゃるんですね。

小林「そうだと嬉しいです。最近、プチコンからプログラムデビューして、LINEのしりとり対決プログラムを組んだ高校生がネットで話題になっていたりしてましたね。面白いですよ」

 

― ある人に訊くと、『プチコン3号』は料理が作りたい人間に対して、完璧な設備のキッチンと素晴らしい食材が提供されるようなツールだ。と言っていました。

小林「『どうせオモチャでしょ?』というようなことを言う人もいますが、30年間プログラムを組んできた我々が一番良いと思って作っていますから。このツールでこの世界に入って来られれば、少なくとも我々が歩んできた『道』的なモノを体験できるのではないかな。と思っています」

 

― 30年間の経験と知恵が凝集されているわけですね! 『プチコン3号』はこちらからご覧下さい。

【プチコン3号→  http://smileboom.com/special/ptcm3/ 】

 

― 会社経営者になって良かったと思うことはなんですか?

小林「現在、社員は34名になりましたけど、経営者になって良かったことは、34名の変な人に出会えたこと。まあ、みんな個性的ですよ。それが一番ですね」

 

― 会社経営をしていなかったら、何をしていらっしゃったと思いますか?

小林「あの時、会社を辞めるなら部下を連れていけ、と言われてなかったら、別にこの業界でなくてもいいと思っていたので、もうちょっと面白おかしいことをしていたかもしれませんね。なんでも良かったんですよ。面白ければ。体鍛えて肉体労働でもしなくっちゃな。と思っていました。辞めるからには業界から足を洗ってもいいかな。と思っていましたから」

 

― それはゲームプログラム業界の大損失です! 小林代表と一緒に仕事がしたいという方も多かったでしょう。

小林「言葉は悪いですけど、ゲーム開発者には専門バカが多かったですから。コントローラーが居ないとアワワーっとなっちゃいますからね(笑)」

 

― 小林代表のご人徳です。絶対面白い仕事をさせてくれる! という予感に満ちた経営者でいらっしゃいますから。

 

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第三回プチコン大喜利(2015年4月27日発表)http://smileboom.com/special/ptcm3/ogiri/

 

  

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